設計変更したら、作業指示書もすぐに更新可能XVL Studioの新バージョン

ラティス・テクノロジー「XVL Studio Ver. 12.0」は、設計変更追従機能を重点的に強化。設計変更したデータが、生産情報や工程管理情報に即反映される。作業指示書も、即時更新。

» 2013年04月18日 17時30分 公開
[小林由美,MONOist]

 ラティス・テクノロジーは2013年4月18日、「XVL Studio Ver. 12.0」を発表した。同年4月19日より販売開始する。「XVL Studio」は、同社の軽量3次元データフォーマットXVLを編集・閲覧するビュワー。新バージョンでは、設計変更追従機能を重点的に強化した。

 製造業の設計現場では3次元データが普及し、PDMやPLMでデジタル管理されることも多くなったが、生産現場ではいまだにMicrosoft Excelで生産工程の情報が管理されているケースが多い。設計現場と生産現場のデジタル環境の差により、設計変更を工程情報へ反映する際は、人が目視で設計変更情報を見てEXCLEに入力するといった作業となってしまう。情報反映ミスも起こりやすかった。

 同社のXVLシステムは、この双方のデジタル環境の差を補完するものであり、設計変更があった際も生産工程へ自動反映が可能となる。

 同社のシステムでは、3次元CAD側で設計変更されたデータは、「XVL Converter」でXVL変換した後、各ツールで運用する。XVLには、XVL Studioによって生産工程の情報が付加できる。生産工程の情報として、アニメーションやスナップショットも作成可能だ。

工程情報が付加されたXVLを設計変更に追従させるためのフロー

 CADデータに設計変更があった場合は、再度XVL変換した後、XVL Studioで設計変更反映の作業をする。その際は、設計変更前のXVLデータを参照し、それとの差分をリスト化して一覧表示する。ユーザーがそのリストを確認し、適宜修正をした後に、XVLへ情報を反映する。そのXVLデータとリンクしている作業指示書へも自動反映される。

設計変更前(画面下部に、変更の候補リスト)
設計変更後

 新製品では、大規模製品の工程情報を「本組」と「サブ組」に分けられる。XVLには「製造ツリー」と「工程ツリー」を持たせられ、XVL Studioで編集できる。

 設計者の扱うヒストリー3次元CADも、モデル構成ツリーを持っているが、こちらは設計しやすくパート分けしたものだ。製造ツリーは、製造の際の本組とサブ組をツリーで表現したもの。この両者の構成は異なるが、XVL Studio内で自動的に置き換えられ、設計変更も自動反映される。サブ組を製造ツリーに定義すれば、それを利用して製造部品表を作成可能だ。

 「工程ツリー」は、時系列で組み立て工程を表現したツリーだ。こちらも、CADのモデル構成とリンクしているので、設計変更を自動反映できる。

 XVL Studio Ver.12.0は、同社が2013年5〜6月に開催するユーザー向けセミナー「XVL 3次元ものづくり支援セミナー」で展示予定だ。

引っ越してきたビルには、もともとワインセラーがあったのです

 ラティス・テクノロジーは2013年4月1日付で本社オフィスを飯田橋に移転した。引き合い増加に伴い、従業員を増やすためだ。2013年度の新卒採用も6人と、例年より多めだったという。中途採用についても、現在、技術者を募っている。

ラティス・テクノロジー 代表取締役の鳥谷浩志氏。新オフィスの受付にて

 もう1つの移転の理由としては、防災や事業継続面を考慮したことが挙げられる。2011年3月11日に起きた東日本大震災を契機に、オフィスの安全性を確保しようと、ラティス・テクノロジー 代表取締役で理学博士の鳥谷浩志氏は前々から考えていた。「以前、このビルにはワインセラーがあり、東日本大震災でもびくともしなかったそうです。これなら安心だと思いました」。

 今後も、同社の掲げてきた「XVLパイプライン」構想(XVLによる「モノづくり情報の流れ」を作ること)に基づき、設計側と生産現場側のIT環境の格差を埋める製品の拡充を進めていく。

iPad miniによるXVL閲覧

 ビュワーのiPad版は既に登場しているが、今後はさらに対応するモバイル端末やブラウザを広げていくという。また近年、ユーザー企業のグローバル化が著しいため、UIは既に対応済みの英語、ドイツ語、フランス語の他に、アジア圏の言語の対応も積極的に進めていく。同社のXVL製品が作成する書類の多言語対応にも取り組む。

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