多目的設計最適プロセス統合化システム「Phoenix 」は、商用プログラム以外にも、自社しか使わないようなプログラムやアルゴリズムまで、ワークフローに素早く組み込むことが可能だ。
ヴァイナスは2012年10月31日、多目的設計最適プロセス統合化システム「Phoenix」の販売代理店契約を締結したと発表。国内の重工業界を中心に提供し、設計コンサルティングサービスを強化するとのこと。PhoenixのUIは日本語化した上で提供する。
Phoenixは、Phoenix Integration(本社は米国ペンシルベニア州フィラデルフィア:以下、PI)が開発した、設計や研究開発における最適化設計を支援するシステム。複数の開発拠点で使われている解析ツールを1カ所に統合し、ワークフローを作成することが可能だ。また複雑に絡み合った多数の設計パラメータの検討をさまざまな統計手法や最適化アルゴリズムを活用して自動化できる。グラフ化など可視化のバリエーションも豊富に取りそろえているとのことだ。同製品は、単に設計性能向上だけではなく、生産コストやライフサイクルコストまで検討可能だ。
同製品は、以下の3種類のシステムで構成される。
「PHX ModelCenter」内には、設計や研究開発にまつわるあらゆるツールが統合可能だ。条件分岐や並列処理、ループ処理を使ってワークフローが作成できる。パワーポイントの資料作成さながらの、アイコンをドラッグ&ドロップする操作がメインだ。
特定の商用プログラムに限ることなく、研究機関によるプログラム、自社開発プログラムまで活用できる。最適化アルゴリズムについては、自社開発したものも利用できる。自社しか使わないようなプログラムやアルゴリズムまで素早く組み込むことができ、まさに「かゆいところに手が届く」最適設計のワークフローが作成可能なのが利点だという。
「PHX CenterLink」によって、地理的に離れた拠点のサーバで動作する解析アプリケーションをラッピングしてコンポーネント化し、ワークフローに組み込むことも可能だ。
ソフトウェアの操作自体は非常に簡単で、トレーニングも2日程度で済むという。日本の顧客については、ヴァイナスでワークフロー作成を支援するサービスも検討しているとのことだ。
同製品に標準で装備されているプラグインは、下記となる。
構造や機構、流体などの解析ソルバーのほか、モデルベース開発ツールやコスト算出ツール、3次元CAD、Excelなども含まれている。ユーザー独自のコンポーネントを作成するためのスクリプト機能も付属している。
標準搭載する主な最適化アルゴリズムは以下。
先述の通り、ユーザーが開発した最適化アルゴリズムも採用可能だ。
開発元のPIは1995年に設立。米バージニア工科大学が開発した研究プログラムをベースにソフトウェアを開発してきた。主な顧客は、ボーイングやノースロップ・グラマン、GE、ロッキード・マーティンなど、航空宇宙関連の企業。Phoenixは、複雑に入り組んだ要件をトップダウンで管理することが要求される航空宇宙関連の開発で活用されながら機能が磨かれてきた。ロケットの飛行経路の軌道計算、悪路を走る車両の衝突・振動解析などでも活躍する。
顧客が開発したプログラムをPhoenix上でPIが商用プログラムとして提供し(上に記載した最適化アルゴリズムにも含まれる)、さらにその利益を顧客にロイヤルティーとして還元するビジネスにも取り組む。
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