NECは、2013年9月までにイタリアのカラブリア州キアラバッレ変電所に蓄電システムを納入する(図3)。
カラブリア州はイタリア南部の州で、面積は1万5000km2(岩手県に相当)、人口200万人。シチリア島に連なる半島であり、イタリアをブーツの形に例えるとつま先の部分に当たる。
イタリアはEUの一員として、欧州委員会のエネルギー新戦略「Energy 2020」を達成しようとしている。Energy 2020の戦略目標は「20-20-20」である。2020年に温室効果ガスの排出量をEU全体において1990年比で20%削減する他、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%に引き上げ、エネルギー効率を20%高めるというものだ。EU指令では国ごとに再生可能エネルギーの割合の目標値が定められており、イタリアは17%である。
そのために4つの大規模プロジェクトの実施を掲げている。EUの電力システム全体をつなぐスマートグリッドの推進と、電力貯蔵*2)、持続可能なバイオ燃料の大規模化、都市部の大幅な省エネである。
*2) 伝統的な水力の他、二次電池を使った蓄電、圧縮空気エネルギー貯蔵、水素などを対象とする。
再生可能エネルギーに関する国際ネットワークであるREN21(Renewable Energy Policy Network for the 21st Century)が、2012年6月に公開した「Renewables 2012 Global Status Report」によれば、2011年の再生可能エネルギー導入量において、イタリアは中国、米国、ドイツに次いで世界第4位、中でも太陽光発電システムでは第1位である*3)。
*3) 同資料によれば、太陽光発電システムの累積導入量、1人当たりの累積導入量のいずれもドイツに次いでイタリアが世界第2位である。
イタリアは全土、特に南部での太陽光発電システムの導入量が多い。住民1人当たりの導入量は州によって異なるが、今回実証実験が行われるカラブリア州では1人当たり100Wを超えている。これは日本の全国平均の3倍以上だ。このため、出力変動の吸収効果を確かめるには適した立地だといえる。
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