複数のビルや街区ごとに自立動作が可能なマイクログリッド。停電に強く、再生可能エネルギーの利用にも適している。マイクログリッドを作り上げるには大容量電池が必要だ。三菱重工業が開発した電池システムを紹介する。
三菱重工業は2012年12月26日、建物内に設置するものとしては国内最大級の「リチウムイオン二次電池蓄電システム」を清水建設の技術研究所に納入したと発表した(図1)。エネルギー管理システムの中核を担う。
清水建設は複数の建物から構成されるマイクログリッド(地域電力制御システム)やスマートBEMS(Building and Energy Management System)などの実証試験を続けており、三菱重工業と共同で今回の電池システムを利用する。
三菱重工業の電池システムの容量は60kWh、出力は100kW。清水建設の技術研究所には既に、総出力600kW級のマイクログリッドが設置されており、これに接続する(図2)。マイクログリッドにはガスタービンや太陽光発電システムなど複数の発電、蓄電設備が用意されており、系統からの電力が遮断されても研究所内の5つの建物に給電できる統合制御が可能だ。これまではニッケル水素二次電池(400kWh)を使っており、今回の電池システムを加えることで、最適な分散型電源の構築実験が可能になるという*1)。
*1) 清水建設は、物質・材料研究機構(つくば市)や、中国杭州電子科技大学などにマイクログリッドを提供しており、2009〜2013年に実施されるNEDOの委託事業「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」(米国ニューメキシコ州おける日米スマートグリッド実証)では、スマートBEMSを構築する計画だ。
三菱重工業は大型のリチウムイオン二次電池システムに注力している*2)。2011年4月には三井不動産レジデンシャルが建設中のマンション「パークシティ国分寺」向けに40kWのシステムを納入した。
*2) 同社は2009年にリチウムイオン二次電池事業に参入し、2010年11月には電池の量産化実証工場を完成している。同工場の年間生産能力は6万6000kWh(中型電池換算で約40万個)だ。
2011年6月には出力1000kW(1MW)のコンテナ型大容量蓄電システムを開発(図3)、実証機を同社の長崎造船所内に設置し、電力安定化実証試験を開始している。
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