ネット公募で“日本のエジソン”を発掘――日本GEが技術協業を促進製造マネジメントニュース

日本GEが、日本の優れた技術をインターネット上で公募して協業を推進する「GE・ジャパンテクノロジー・マッチングフェア2012」を開催する。世界中の1000人を超えるGEの研究開発関係者に公募データを開示することで、協業の可能性を広げていく構え。

» 2012年05月28日 19時30分 公開
[西坂真人,@IT MONOist]

 米国General Electric(GE)の日本法人である日本GEは2012年5月28日、日本の優れた技術を公募して協業を推進する「GE・ジャパンテクノロジー・マッチングフェア2012」の開催内容を発表した。

 同社では日本企業との技術連携を同社の重要な技術戦略と位置付け、技術面での相互補完的なパートナーシップ構築を促進するプロジェクト「ジャパン・テクノロジー・イニシアチブ(以下、JTI)」を2004年から展開している。

 日本GE社長兼CEOのマーク・ノーボン氏は「日本はテクノロジーイノベーションのレベルが高く、それが日本の強みとなっている。GEの独自調査によると、2011年の世界のイノベーションランキングで日本は3位になっている(1位はドイツ、2位はアメリカ)。しかし日本の企業はイノベーションに対して悲観的だ。一方で、イノベーションに必要な要素としては日本の経営幹部の86%が“パートナーシップ”と答えている。GEと日本のテクノロジーとをマッチングしていき、イノベーションがもたらす価値を提供していくのがわれわれの役目」と語る。

photo 日本GE社長兼CEOのマーク・ノーボン氏

 「GEの創業者であるトーマス・エジソンの言葉に『世界がいま、本当に必要としているものを創るのだ(I find out what the world needs , then I proceed to invent it.)』というのがあるが、これはまさにGEが日本で追求している“イノベーションやテクノロジーの重要性”を支えている言葉でもある。エジソンの発明といえば電球が有名だが、その電球の第1号モデルの中には日本の竹をフィラメントの材料として使ったものがあった。このようにエジソンの発明と日本とは過去の事実からも非常に深いつながりがある」(ノーボン氏)。

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 まさにJTIはエジソンのこの言葉を実践し、“日本のエジソン”を発掘する取り組みともいえる。GEグローバル・リサーチ・センター日本代表の浅倉眞司氏は「JTIは、外部からのアイデアを取り入れる“オープンイノベーション”の考えに基づき、日本の企業とGEとがWin-Winのパートナーシップを構築できることを重視してきた。これまでの実績としては、本田技研工業との小型ビジネスジェット用エンジン、日立製作所との次世代原子力発電、三菱重工との次世代スチームタービンなどがある。数々の日本企業と協業することで日本の優れた技術を世界に展開している」と、JTIの取り組みを説明する。

photo GEグローバル・リサーチ・センター日本代表の浅倉眞司氏

 このJTIの一環として、2007年10月と2009年5月には日本企業とGEとの技術のマッチングをはかるリアルイベント「ジャパン・テクノロジー・フォーラム」を東京都内のホテルを会場に開催している。

 GE・ジャパンテクノロジー・マッチングフェア2012と名付けられた今回のイベントでは、リアルな会場を利用した従来のイベントとは異なり、インターネット上で技術を公募するのが特徴となっている。応募期間は2012年5月28〜6月30日まで。募集する技術領域は以下の通りだ。

  • 先端材料
  • 環境・省エネルギー技術
  • エレクトロニクス・ソフトウェア
  • ヘルスケア・バイオテクノロジー
  • 製造・プロセス技術
  • その他、GE製品群とのシナジーのあるもの

 応募された日本の優秀な技術は、一次審査を経た後にGEのイントラネットを通じてGEグローバル・リサーチ・センター(GE中央研究所)の研究員や、各ビジネス分野の製品開発、マーケティング、調達部門など1000人を超える全世界のGE社員に開示される。応募された技術に対してGEからのフィードバックや評価を提供し、可能性のある提案には日本GEのJTI事務局が間を取り持って、GEの世界的な研究開発力や事業化におけるノウハウと結び付ける橋渡し(マッチング)を行う。協業の形態は技術ライセンスだけでなく共同開発や製品化などさまざまな技術的な協業を見込んでいるという。

photo マッチングのプロセス

 同社によると、これまでのリアルイベントでは、GE側から数十人ぐらいしか参加できなかったため、協業分野が限られたものになっていたという。「今回は世界中にいる1000人を超えるGEの研究開発関係者に開示されるので、協業の可能性が大きく広がることを期待している」(同社)。

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