「キャプテンどうですか?(Capt’s DOSCA)」――環境運航・最適航海を実現するコミュニケーションシステム波風による動揺を測るセンサーも活用

ウェザーニューズは、安全・経済・環境運航を目的とした船陸間のコミュニケーションシステムとして、洋上を航行する商船上で使用する「Capt’s DOSCA(キャプテン・ドスカ)」を開発。4月1日にリリースすることを発表した。

» 2012年03月27日 20時14分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

 ウェザーニューズは2012年3月27日、安全・経済・環境運航を目的とした船陸間のコミュニケーションシステムとして、洋上を航行する商船上で使用する「Capt’s DOSCA(Captain ’s Dynamic Operation System for Counter planning and Analysis:キャプテン・ドスカ)」(補足)の開発が完了し、4月1日にリリースすることを発表した。

 Capt’s DOSCAは、海運会社の「安全性」「定時性」「経済性」「環境性」など、多様化するニーズに対応した航海計画を提供する同社の「Optimum Ship Routeingサービス(以下、OSRサービス)」を採用する船舶に順次インストールされ、船長、海運会社のオペレーター、そして同社とのコミュニケーションをより緊密にし、最適な航海を3者で確認しながら計画、実施するコミュニケーションシステムである。

※補足:Capt’s DOSCAのネーミングは、日本語で「キャプテンどうですか?」とまず状況をお伺いするスタンスがニュアンスとして含まれているという。


 Capt’s DOSCAは、海運会社のニーズに基づいて、最適な航路や船速、エンジン回転数をビジュアルな航海計画として分かりやすく伝達する。船速や燃料消費量を予測するシミュレーションエンジンを採用し、同社が提供する航海計画を船長自ら検証する機能を有する。また、船長が評価・検証した航海計画を陸側に返送し、航海計画の共有を図る機能も備える。同社は、船長の確認を基に、海運会社のオペレーターと船舶の航海計画をモニタリングし、船舶と適切なコミュニケーションを取りながらその更新を行い、ビジネスとしての最適航海の実現を図る。

航路比較 航路比較の画面イメージ

 現在、IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)では、船舶から排出されるCO2削減に向けて、効率運航の指標としてEEOI(Energy Efficiency Operational Indicator:エネルギー効率運航指標)を用いた取り組みが議論されている。Capt’s DOSCAではこのEEOIを自動計算する機能を搭載し、これからさらにニーズが高まる環境運航へもいち早く対応している。また、波や風によって発生する船の動揺を測るセンサー「Marine Station」をCapt’s DOSCAに接続することで、動揺データを自動的に送信する機能も搭載しており、船舶の「いま」を陸上からリアルタイムで把握することも可能だという。なお、同社は将来的に、Marine Stationの船舶動揺データを海運会社の枠を超えて共有し、航海のさらなる最適化を海運業界とともに取り組んでいく構えだ。

「Marine Station」による船の動揺データの表示イメージ 「Marine Station」による船の動揺データの表示イメージ

 加えて、Capt’s DOSCAは昨今の海上でのブロードバンド通信の普及にも対応する。これまでの通信インフラでは、送信できるデータ量や双方向のコミュニケーションに限りがあったが、Capt’s DOSCAは「ブロードバンド・モード」を搭載しており、船舶の航海計画検討に必要十分な15日先までの世界中の気象・海象情報を最大1日4回更新(6時間間隔)で受信が可能だ。また、前述のMarine Stationで得られた情報を陸上と共有するなど、ブロードバンド化のメリットを最大限に生かした機能を搭載しているという。

 さらに、今後の新しいニーズに対しては、オンラインリモートでの「アプリケーションアップデート機能」を生かし、積極的に対応していく方針だという。

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