システムの全体像は以下の通り。まず、風力発電機で発電した電力を水分解装置に通じて水素を得る。「1時間当たり480Lの水素生成能力がある」(日立製作所)。その後、溶媒の一種であるC7H8(トルエン)に水素を添加して反応させ、MCHの形で備蓄する。電力が必要になったときには、MCHから水素を分離し、その後、水素を軽油と混合してディーゼル発電機を駆動するという仕組みだ(図2)。
国立極地研究所は、今回納入するシステムを使って、2011年11月から2012年3月までの期間、秋田県の南西部、日本海に面するにかほ市(図3)で実証実験を進める予定だ。国立極地研究所が設置した風力発電機と接続して基礎データを取得する*4)。
*4) にかほ市にある、仁賀保高原ひばり荘南側の駐車場付近に用意した垂直軸型20kW風車を使う。なお、にかほ市は風力発電に適した立地であり、にかほ市の南東部、鳥海山の北山ろくには、電源開発が所有する仁賀保高原風力発電所(出力2万4750kW、1650kW×15基)などが設置されている。
試験運転では製造した水素を出力3kWの発電機に投入して試験運転を行う予定だ。なお、昭和基地への設置に関しては、今後、別途受注契約を結ぶ必要があるという。
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