品質の状態を実証的・論理的・体系的に正しく把握するための基礎力を高めるにはどうしたらよいでしょうか? 今回は統計の考え方と可視化の効能をおさらいします。
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現場で品質状況の管理をしたり、何かの調査や測定の結果のまとめ方として、グラフなどによるデータの図示化は最も有効な方法です。また、図示化の目的は、現状の問題点の悪さ加減と、不具合の発生原因を明らかにすることですが、まとめ方(データの図示化)としては「統計的手法を用いて測定結果をまとめる」「過去の実績または標準値と測定結果を比較する」「測定値の不足や追加測定を決定する」などが、その要点となります。
昨今、「3現主義」の意味は知っていても、実際の行動面では事実観察(「現場」で「現物」を診断し、どのような状況にあるのかという「現実」を確認すること)も簡略に済ませ、あまり確かでない過去の経験や思い込みだけで場当たり的な判断や意思決定をしている例が多くあります。そのような行動を改め、原点に立ち返って、科学的(実証的・論理的・体系的)に考えて行動していく必要があります。
科学的に考えていく、とはどのようなことでしょうか。それには、まず「現場」「現実」を図示化して把握する必要があります。
図示化の主な効用として、以下の項目が挙げられます。
(1)情報伝達力の向上
(2)将来予測による不具合の未然回避
(3)問題解決への寄与(問題解決の糸口をつかむ)
(4)科学的思考の醸成
「現場」「現実」を把握し、思い付きや過去の経験に頼らない判断を促すためには、この図示化が非常に重要になります。図示化手法の詳細は本連載で詳述予定ですが、次ページからは、まず全体像を把握するために、統計的なものの考え方をおさらいしておきましょう。
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