NECのHEMSは、家電の消費電力と太陽光発電の売買電量の見える化が目的だ。新築既築を問わず設置できる特長がある。さらに、家電メーカーや家電の種類などに依存せずに消費電力や売買電量を測定できるため、幅広い需要が望めるという。
家庭内の電力管理、見える化、制御に必要なHEMS(Home Energy Management System)の開発、販売が進んでいる。太陽電池や二次電池(蓄電池)を備えたスマートハウス実現に必要不可欠だからだ。
HEMSの開発には住宅メーカーの協力が必要だ。住宅メーカーとHEMSメーカーの関係は一様ではない。例えば、大和ハウス工業はHEMSの単独開発にこだわっている。住友林業は東芝と共同でHEMSの開発を進め、ミサワホームは自社開発品に加えて、トヨタグループとの提携に基づく開発を進めている。積水化学工業は太陽光発電とHEMSを組み合わせた住宅が最も現実的なスマートハウスであるととらえ、2010年10月にNECと提携した。その後、NECのHEMSを取り付けた住宅「スマートハイム」の販売を2011年4月から開始している。
HEMSの需要が高まるなか、NECは2011年8月1日から、HEMSを単体で住宅メーカーや工務店などに向けて販売する(図1)。HEMSハードウェアの価格は10万円程度。この他、クラウドサービスの利用料金が必要な場合がある。
NECのHEMSは、新築既築を問わず設置できる特長がある。さらに、家電メーカーや家電の種類などに依存せずに消費電力や売買電量を測定できるため、幅広い需要が望めるという。
同社のHEMSの構成要素は3つある。分電盤の脇に取り付ける電力測定装置と情報収集装置、クラウドサービスだ(図2)。
電力測定装置には電流センサーを12個接続できる。電流センサーのうち、4個は系統側と太陽光発電側に取り付け、8個は分電盤のブレーカーごとに配線をくるむように割り付ける。各居室やエアコンなどの家電製品ごとに8系統を測定できることになる。
情報収集装置は電力測定装置とインターネットの仲立ちをする機器だ。電力測定装置とは950MHz帯の特定小電力無線で接続し、インターネットとは、家庭で利用しているブロードバンドルータなどを経由して接続する。
クラウドサービスでは、情報収集装置から送られてきた電力情報を集積し、日別、月別、年別の消費電力量や売買電量に加工、統計管理や傾向分析などの処理を施す。電力会社が季節や時間帯ごとに電力料金を変更した場合でもクラウド側で対応できる。こうして加工された電力の見える化情報をPCなどのWebブラウザを通じて閲覧できる仕組みだ。クラウドサービスで提供する情報メニューはカスタマイズ可能であり、販売先の要望に応じた設計に応じるという。
【訂正】記事の掲載当初、第3段落で「住友化学工業は(中略)「セキスイハイム」の販売を2011年4月から開始している」としていましたが、これは「積水化学工業は(中略)「スマートハイム」の販売を2011年4月から開始している」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。
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