競合他社からシーメンスPLMへ次々とリプレイス!?シーメンスPLMソフトウェアの会長兼CEOが会見

シーメンスPLMソフトウェアの会長兼CEOのアフーソ氏は、同社の好調な業績を後押ししたのは、競合他社からのリプレイスだと述べた。

» 2011年07月21日 20時01分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 シーメンスPLMソフトウェアは2011年7月21日に東京都港区の六本木アカデミーヒルズで「Siemens PLM Connection Japan 2011」を開催した(同時開催のバーチャルイベントは、同年8月12日まで公開)。それに合わせ、同社の会長兼CEOのトニー・アフーソ(Tony Affuso)氏が来日し会見した。本記事では、アフーソ氏のスピーチの内容をお伝えする。

photo シーメンスPLMソフトウェア 会長兼CEOのトニー・アフーソ(Tony Affuso)氏

業績について

 アフーソ氏は日本は非常に重要な市場と考えており、年に5、6回は来日しているという。日本の事業は順調に伸びており、シーメンスPLMとしても日本向けのリソースに対して積極的な投資を続け、日本の顧客に向けた機能も継続的に追加しているとのことだ。

 グローバルの業績としては、最近の5四半期連続で売り上げが伸びており、直近の4〜6月を加えれば6四半期連続で増加中だという。特に新規ライセンスの伸びが好調で、四半期ごとに新規の売り上げが25〜50%の範囲で増加しているとのこと。

 新規ライセンスの中で特に目立ったのは、競合他社製品からの乗り換え案件だという。日本国内においても、本田技研工業、パナソニック、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU)、三菱自動車工業において、競合他社製品から同社製品への乗り換えがなされたとのことだ。従来、製造企業におけるCADやPLMについて、いったん導入した製品から他社製品への乗り換えはなかなか厳しいのが常といわれてきた。そのような状況下で、大手企業たちのシステム乗り換えをうまく促した要因として、アフーソ氏は同社の「シンクロナス・テクノロジ」(他社フォーマットのデータも同社製品に取り込んだ後にパラメトリック情報などが簡単に付加できる)や、オープンでスケーラブルなシステムの機能を注意深く開発してきたことを挙げた。「他社製品で新バージョンにアップグレードするよりも、当社製品に乗り換える方がより簡単であると自負している」(アフーソ氏)。

 2010年以降、世界の大手自動車メーカー各社がシーメンスPLMの製品導入を検討しているという。その中には、GM、クライスラー、ダイムラー、フォルクスワーゲン、BMWが含まれているとのことだ。既にクライスラー(CAD)、GM(PLM)、ダイムラー(CAD)からは受注済み。特にダイムラーは2年がかりで導入を検討した結果、他社製品から同社のPLM「NX」および「Teamcenter」へ移行することが決まったという。

グローバルなコラボレーション

 会見の後半でアフーソ氏は、2005年から開発してきた同社の次世代PLM「HD-PLM」について説明した。HD-PLMという名称は社内のコードネームであり、実際の製品名は、「Active Workspace」という名称になるという。

 「今日の複雑化した製品開発について、従来のPDMやPLMの延長戦では、今後の生産性向上はさほど期待できない。当社の製品では、共有型のデータモデルにより、製品設計技術と生産技術の統合を実現することで、通常のPLMよりも大幅な生産性向上が見込める」とアフーソ氏は述べた。「グローバルなコラボレーション、サプライチェーン全体にまたがるコラボレーションが必要。各国、各地域に分散しているチームをいかにつないで、複雑な環境の中で情報管理をしていくかが重要となる」。

 そこでHD-PLMでは製品に関わる全てのチームが情報にアクセス・共有し、コラボレーションができるような形を取る。情報を検索する、または「コスト」「重量」「燃料」「排気」「サブシステム」といったカテゴリー分けも可能にしていく。

 HD-PLMのシステムにおける「RLFP」というフレームワークでは、メカの部分だけでなく、電気・電子、ソフトウェアプロセス、プラント、サブシステムまでさまざまな部門間における情報の依存関係を把握可能にする。それらの情報を常に追跡可能とすることで、意思決定の信頼性を向上させていく。「これらは反復プロセスとなり、だんだんと作業を進める。われわれのシステムもこのようなフレームワークに基づき設計され、データの共有、アクセスが可能となる」(アフーソ氏)。

photo RLFPの説明

 最後にアフーソ氏は、シーメンスPLMソフトウェアの将来ビジョンのビデオを紹介した。「最初の市場投入は2011年の年末までに行う。また、今後5〜10年間で、このビデオの中で語られているビジョンが徐々に実現するだろう」。

【動画】HD-PLMのビジョン:Siemens PLM Software High Definition Product Lifecycle Management(HD-PLM)Vision Video

 「HD-PLMとは、このように全く新しい方法で、簡単なインタフェースで、情報やシステムをやりとりしたり、コラボレーションしたり、またナレッジにアクセス・共有したりできるようになる仕組み。また、NX(デジタルエンジニアリング)、Teamcenter(情報コラボレーション、シェアリング)、Tecnomatix(デジタルマニファクチャリングおよびシミュレーション、プランニング)で機能する」(アフーソ氏)。

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