「3次元CAD利用技術者試験」のちょっと面倒なモデリング問題で腕試しするシリーズ、今回は準備編です
皆さんはじめまして。筆者は、機械設計や教育事業を仕事にしている、みやしろと申します。よろしくお願いします。
筆者が昔、自動車設計の仕事を始めたころ、まだ機械図面は手描きでした。それが、あれよあれよという間に2次元のCADが出てきた! ……と思ったのも、つかの間。ここ数年で、機械設計の世界では3次元のCADが主流になりつつあります。
またJISも、以前は分厚いハンドブックを買って調べなければならないものでしたが、いまではWeb上で検索できます。材料や成型法、加工法もWebで調べることもできますね。とても便利な世の中になりました。これから設計をしてみようかと思っている方や設計者のタマゴの方はどんどんWebを活用し、情報収集に役立ててください。
このコラム「きゃどりる」(CADrill:CADのドリル)では、3次元CADを使って頭の体操をしましょう! 仕事の合間の息抜きがてら、チャレンジしていただければ幸いです。
これから解説する問題は、2010年で20周年を迎えた社団法人コンピュータソフトウェア協会主催「3次元CAD利用技術者試験」の一部です。平成20年度前期に実施された1級問題の中から題材を拝借し、3次元モデリングのポイントや作り方を紹介していきます。今回は、その準備編です。
この記事は3次元CADのオペレーション初心者向けとして、社団法人コンピュータソフトウェア協会主催「3次元CAD利用技術者試験」(平成20年度前期に実施された1級問題)の出題内容と解法を紹介しています。
この記事で紹介する3次元モデリングの作業ステップは、実際の設計事情や加工方法を考慮していない場合がございます。また当然ながら、実際の設計においては作業の手数を減らすことが重要であるとは限りません。
記事で提示する解答だけが正しいとは限りません。複数の解答パターンがある場合もありますが、記事で紹介するのはあくまでその1つとお考えください。
あらかじめご了承いただければ幸いです。
問題に取り組む前に、いくつかモデリングのポイントを確認しましょう。
どんなモデルでもやみくもに2次元スケッチを始めると、後から困ることがあります。筆者の場合、一番に注意することが1つ。後で変更があった場合、いかに変更箇所を減らし、モデル形状を壊さず簡単に変更できるかを考えてスケッチをすることです。例えば効率の良い寸法や拘束を付加すれば1カ所の変更で収まるものが、拘束する位置、部位で誤った付け方をしてしまった場合、余計な作業が2つ、3つと増えてしまいますよね?
さて、ここで問題です!
全体を見渡し、全体の機能や形状を理解すること。そして、どこを基準に拘束を付けるか、どこに寸法を入れるかなど考えます。さまざまな形状をたくさん作ってみて、いろいろな形状パターンに慣れておくことも肝心です。
スケッチをする際、X、Y、Zの座標位置が決まっているので、必ず基準位置と方向の確認します。そうすることによってアセンブリの際、余計な動作が省かれます。
全体の形状を把握した上で、どこの部分のスケッチを優先しなければならないか、また全体のスケッチおよびフィーチャー編集の順序を考え、その後の変更などに追従するようにしましょう。
CADを習ったという方と何度も仕事をしたことがありますが、円やシャフトは描かれているが、中心線がない……。リブを長手方向に断面を切って図自体が分からない図になっている、など基礎ができていない方がたくさんいました。「どこを基準に作り込むか」を考えることが必要であり、2次元の図面においては、CADの操作だけではなく製図法もしっかり理解することが必要ということですよね。
……ちょっと簡単でしたか?
自宅でチャレンジされる方、3次元CADをお持ちでない方は、CAD利用技術者試験の公式ページで紹介している3次元CAD体験版一覧(検定試験で使用できるCAD)をご覧の上、お試しください。
さあ、以上の点を注意しながら、次回は実際の問題を解いていきます。 (次回へ続く)
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