今回は 【問題2】のモデリング手順を解説します。エッジに掛かったフィレット、一見何でもなさそうな形状ですが、よく考えないと……!?
前回のきゃどりる(5)は、【問題2】を出題しました。今回はモデリング方法を解説していきます。またモデルを作っていただいたと思いますが、皆さんの作成方法とぜひ比較してみてください。まずは基本形状の作り方から解説していきます。
大切なのは、「いつシェル化するか」、でしたね。ヒストリ系(パラメトリック)のCADであれば、途中で形状作成がうまくいかなくても、履歴をいじれば直ることもありますが、ノンヒストリ(ダイレクトモデリング)系だとそれはできません。
まずは、上部、左右、下部などにある細部形状は全て、シェル化した後に加工しないと作れないことに、気が付いたでしょうか?
図面でX、Y、Z面を確認し、断面A-Aを参考にしながら、Z面にスケッチします。さらに、そのスケッチを両側に押し出しましょう(図1)。
まずエッジにフィレットを掛けます(図2)。
このエッジにはR20のフィレットを掛けますが、この形状を判断するためのポイントが2つあります。
1つ目は、問題2の正面図(一番上の図)の右側にある(R20)の寸法。( )寸法は参考寸法の意味ですから、ほかに求められる寸法があるということになりますね。
2つ目は断面B-Bにあります。断面B-BにもR20の寸法が入っていますが、この寸法には( )が付いていません。この場合、断面B-Bに記入されているR20を優先して考えなければなりません。では、なぜ断面B-BにR20を記入しているのでしょうか?
断面B-Bをよく見ると、R20と記入されている円弧が、断面A-Aに図示されたR245の円弧の最外形でもあることが分かります(図3)
図3の寸法を基にすることで、図2に示したエッジのR20フィレットを作成可能なことが分かります。これはちょっと分かりづらい寸法記入でしたね。
本来であれば、せめて、R245の最外形部でもう1つ断面があり、そこにR20の寸法が付いていたらもっと分かりやすいのですが……。試験問題ですから仕方ないかなぁ。
こんな図面を出図して、加工技術者さんに頭の体操をさせないようにしたいですね。設計打ち合わせ用の図なら、何らかしらの設計意図を表わそうとして、こんな描き方をすることはあるかもしれませんが。
次回はシェル化の作業および細部形状の作り方について解説します。お楽しみに! (次回に続く)
この記事は3次元CADのオペレーション初心者向けとして、社団法人コンピュータソフトウェア協会主催「3次元CAD利用技術者試験」(平成20年度前期に実施された1級問題)の出題内容と解法を紹介しています。
この記事で紹介する3次元モデリングの作業ステップは、実際の設計事情や加工方法を考慮していない場合がございます。また当然ながら、実際の設計においては作業の手数を減らすことが重要であるとは限りません。
記事で提示する解答だけが正しいとは限りません。複数の解答パターンがある場合もありますが、記事で紹介するのはあくまでその1つとお考えください。
あらかじめご了承いただければ幸いです。
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