ハッキリ、いいます。
下のグラフをよぉ〜く見てシッカリと記憶に刻みこんでください。モデルは片持ちバリ。今回はシェル要素を使って片持ちバリを表現しました。1〜6に向かって、要素はどんどんと小さくなっていきます。
それぞれの要素の細かさで解析を行ってその最大変位量をプロットしたのがグラフです。メッシュサイズによって解析結果が変わっています(図7)。
例えば2番。最大変位量は、約0.9ですね。グラフを見ると、素人目にも5〜6が「安定」しているのが分かります。そのときの最大変位量は、約1.7となります。0.9の約1.8倍。これ以上、メッシュサイズを小さくしても結果はあまり変わらないことがカンタンに推測できます。直感といえば直感ですが、人間の直感ってわりと正しいもんなのです。
0.9と1.7。アナタはどちらの方が、精度が高い解析結果だと思いますか? ほとんどの人は「そりゃ、1.7でしょ」と答えるでしょう。それでいいんです。
問題なのは、「これは解析を何度も行ったから分かったことだ」ということです。
解析ソフトが適当に設定したメッシュサイズで解析をした結果が5〜6アタリにあるという保証はどこにもないのです。もしかしたら2番くらいかも知れません。要は1回コッキリの解析では、その精度が安定しているのかどうかまったく分からない、ということです。メッシュサイズを変更して何度か解析して、その結果をプロットしてみて、そのグラフの傾向を観察して初めて分かることです。その手間を惜しまないでください。
コンピュータの能力が飛躍的に上がり、エレガントさよりもパワーの時代。そのパワーを十分に生かしきるためにも、解析を1度やっただけで絶対にそれを結果としないでください。その結果がグラフのどのアタリに位置するのか分からない以上、その結果は何の意味も持ちません。よって何の指標にもなりませんし、説得力も持たないのは当然のことです。だから「解析を何回やったのか?」という質問はとても大切な質問なのです。
ふぅ……。チカラが入ってしまいました。今回の内容は設計者解析にとって非常に重要な内容です。ぜひ理解しておいてくださいね。デザインレビューでの僕の質問項目(前ページ後半)はそのままチェックリストとして使うことができます。ぜひ現場での解析結果の評価のときに、事前の確認事項として使っていただければと思います。解析結果を出すときには、その解析結果の根拠として個条書きしておくべき内容です。この8つのチェックポイントだけで、解析の信頼性がグンとアップします。
次回は、実際に設計者向けの解析ソフトを使って解析をしてみて、設定がいい加減だといかに結果が「合わない」かを検証しつつ、その精度をいかにアップさせていくかを実験してみましょう。
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