今回はROMとRAMの特徴、メモリの基本構造について解説。さらに、ページング方式の「仮想記憶」に関する演習を出題する。
前回の宿題【問題4】は、SRAMの特徴に関する問題でした。
RAMには「DRAM(Dynamic RAM)」と「SRAM(Static RAM)」があります。DRAMは安価に大容量化が可能ですが、SRAMは高速ではあるものの大容量化が難しいという特徴があります。
今回も問題の解答に続いて、「ROM(Read Only Memory)」と「RAM(Random Access Memory)」の特徴について解説します。この機会にしっかりと理解しておきましょう。
それでは、解答を発表します!
問題4 SRAMの特徴に関する次の記述のうち、正しいものはどれか? 答え. ウ (←クリック) |
ウ以外は、すべてDRAMの特徴に関する記述になります。
メモリはROMとRAMに大別されます。ROMは不揮発性のメモリで、電源を切っても内容が消えません。RAMはデータの読み書きが可能で、電源を切ると内容が消えてしまう揮発性のメモリです。
組み込みシステムでは、出荷前にROMにハードウェアの制御プログラムなどを書き込みます。このときに使われるROMを「マスクROM」といいます。マスクROMは読み出し専用であり、一度書き込まれた内容を書き換えることはできません。構造は単純で、製造コストも安価です。
一方、「PROM(Programmable ROM)」は書き換え可能なROMです。製造時にデータを書き込まずに後でROMライターを使って一度だけ書き込みを実行できるものをPROMといい、データの消去と書き込みを複数回実行できるものを「EPROM(Erasable PROM)」といいます。
EPROMには表1に示すように、「UV-EPROM(Ultra-Violet EPROM)」「EEPROM(Electrically EPROM)」「フラッシュメモリ」などがあります。
種類 |
特徴 |
UV-EPROM | データの消去は一括して紫外線によって行う。 データの書き込みは1バイト単位で電気によって行う。 |
EEPROM | データの消去および書き込みは1バイト単位で電気によって行う。 データの書き換え回数に制限がある。 |
フラッシュメモリ (フラッシュEEPROM) |
データの消去および書き込みは電気によって行う。ブロック単位での消去が可能。 大容量で、安価。携帯電話、デジタルカメラなどに利用される。 |
DRAMは図1に示すように、記憶素子(メモリセル)にトランジスタとコンデンサを用い、コンデンサに電荷があるか(1)、電荷がないか(0)で1ビットの値を表現します。
図1 DRAMの記憶素子 |
ただし、時間が経過すると電荷が減少するため、定期的にリフレッシュ(再書き込み)を実行して、記憶内容を保持しなければなりません。そのため、アクセス速度は遅くなりますが、構造が単純であるため、安価に大容量化が可能です。DRAMは、主記憶装置などに用いられます。
DRAMには、表2に示すような種類があります。
種類 |
特徴 |
SDRAM (Synchronous DRAM) |
読み書きをクロックに同期させて行うことでアクセス速度を改善する。 |
DDR SDRAM (Double Data Rate SDRAM) |
読み書きをクロックの立ち上がりと立ち下がりに同期させて行うことで、アクセス速度をSDRAMの2倍に改善する。 なお、SDRAMの4倍のアクセス速度の「DDR2 SDRAM」、8倍の「DDR3 SDRAM」もある。 |
EDO DRAM (Extended Data Out DRAM) |
データ保持用の回路を設けてデータ出力のタイミングを改善して高速化する。 |
DRDRAM (Direct Rambus DRAM) |
Rambus社が開発したDRAM。 |
SRAMはDRAMと比較すると、ビットの「0」または「1」の状態が安定して維持されます。リフレッシュ動作は不要です。それゆえ、「静的(Static)」といわれます。
記憶素子に複数のトランジスタで構成される複雑なフリップフロップ回路を用いるため、高速ですが、消費電力が大きく、高価で、大容量化は難しくなります。SRAMは、キャッシュメモリなどに用いられます。
ROMやRAMは、複数の記憶素子(メモリセル)から構成されます。1個の記憶素子は、1ビットを表します(複数ビットを表すこともあります)。例えば、容量が256ビットのメモリでは、256個の記憶素子が2次元の格子状(16行×16列など)に並べられます。
メモリへの読み書きは、行単位で行われます。行デコーダは、MPUから送られてきたアドレスを解析し、読み書きの対象となる行を特定します。続いて、列デコーダが同時に読み書きされる行における列を特定します。特定された行と列の交点に当たる記憶素子に対して、データが読み書きされます。このとき、行を特定するための信号線を「ワード線」、列を特定するための信号線を「ビット線」といいます。
図2 メモリの基本構造 |
問題5 ページング方式の仮想記憶に関する次の記述のうち、正しいものはどれか? 答え. 解答はこちら(←クリック) |
いかがでしたでしょうか? ROMとRAMの特徴について理解できましたか。次回は、「仮想記憶」について解説します。お楽しみに!(次回に続く)
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