連載
» 2009年06月12日 00時00分 公開

ここからすべては始まる。三大有限要素はこれだ!設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法(3)(3/3 ページ)

[栗崎 彰/キャドラボ,MONOist]
前のページへ 1|2|3       

4.単純そうに見えて実は面倒、バー要素

 さて、最後にバー要素です。

 同じ円筒管をバー要素で分割してみました。何ともまぁ、素っ気ない図になってしまいました。バー要素は基本的に節点と節点をつなぐだけ。素っ気なくなるのも当然です(図8)。

 バー要素の表現の本質は、「一本の棒に例えるとしたら……」ということです。この「したら……」の部分が重要です。今回は円筒管を1本の棒に例えました。棒みたいなモノなら取りあえずバー要素で表現することができるということです。

図8 円筒管をバー要素で分割 なんだかそっけない感じ

 僕が駆け出しの数値解析者だったころ、船舶の構造計算の仕事をしました。この仕事ではホントに教わることが多かった。有限要素法が設計のための計算に取り入れられたのは造船から、というくらいですから。船一隻を一本の棒に例えて手計算で解析をする場合があります。あくまでザックリとした計算なのですが。直径100mmの円筒管でも、船一艘でも、同じようにバー要素で表現するとしたら、円筒管と船の違いを何によって定義するのでしょう。

 その違いを定義するのが、「断面性能」です。断面性能はバー要素で表現したモノの断面の力学的な性能を表す数値群です。それは次のような項目から成り立っています。

  1. 断面積
  2. 断面2次モーメント
  3. ねじり定数
  4. 形状係数
  5. 方向ベクトル
  6. オフセット量

 断面が円筒や矩形の単純な形状であれば、断面性能は比較的簡単に算出できますが、例えば、I型やH型、L型になると複雑な計算が必要になります。よってバー要素を使う場合は、断面性能が必ず必要になりますので、覚悟しておいてください。

 断面性能の算出の方法については、それだけで1つの連載になってしまいそうなので、この連載の番外編で説明することにしたいと思います。

 バー要素が適した部品は「棒モノ」です。鉄塔、鉄橋、シャフト、ハリガネハンガーなどの要素分割にはバー要素が適しています(図9)。

図9 バー要素が適した部品・製品

 今回は、ソリッド要素、シェル要素、バー要素について説明してきました。今回の説明はあくまでも有限要素のイメージを持ってもらうためのもので、ハリガネハンガーをソリッド要素で分割してはいけない、というわけではないのです。また、全部を同じ種類の要素で分割しなくてはいけない、というわけでもありません。

 今回説明した3つの要素は、有限要素法で構造や部品を表現するために、なくてはならない重要な要素です。これらの要素たちの使い方を学ぶ前に、それぞれの要素の性格を把握しておいてください。

 ソリッド要素とシェル要素は、現場では特殊な呼ばれ方をします。これは「僕流」ですが、今後の連載で使う可能性もありますし、少なくとも解析をやる方々には意味は通じると思いますのでご参考までにまとめておきます(図10)。

図10 ソリッド要素とシェル要素の呼び名まとめ

 今回は基本3要素であるソリッド、シェル、バーを対象構造物という切り口で説明しました。次回は用途別の切り口で説明したいと思います。さらに要素の複合的な使い方や基本3要素以外の要素についても踏み込んで行こうと思います。(次回に続く)

Profile

栗崎 彰(くりさき あきら)

1958年生まれ。キャドラボ 取締役。1983年より24年間、構造解析に従事。I-DEASの開発元である旧 SDRC 日本支社、CATIAの開発元であるダッソー・システムズを経て現在に至る。多くの企業で3次元CADによる設計プロセス改革コンサルティングや、設計者解析の導入支援を行う。特に設計者のための講座「解析工房」が人気。解析における最適なメッシュ・サイズを決定するための「OK法」を共同研究で模索中。



前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.