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» 2008年04月16日 00時00分 公開

じゃあTOCでどれだけ利益が出るの?利益創出! TOCの基本を学ぶ(6)(3/3 ページ)

[村上 悟/ゴール・システム・コンサルティング,@IT MONOist]
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「創る」の強みを生かした「プラスチック製段ボールカートン」

 また北越パッケージでは、「創る」の強みを生かした提案として「プラスチック段ボールによる輸送包装材のリユースシステム」を開発しました(図5)。今日、食品業界ではHACCP(ハセップ)(注1)やISOなど、安全衛生や品質管理の徹底・強化が求められています。異物や細菌の混入による事故発生は、食品業者にとって致命的といっても過言ではありません。牛乳パックはカートンメーカーから段ボールに封入されラインサイドに納品されますが、段ボールカートンには「紙粉」がつき物であり、ラインサイドで開封された段ボールカートンから飛散した紙粉は、液体の充填(じゅうてん)工程での混入事故につながる可能性があり、その防止には乳業メーカーも課題を抱えています。

図5 プラスチック製段ボールカートン 図5 プラスチック製段ボールカートン

 プラスチック製段ボールカートンの仕組みは、紙粉の混入原因となっていた紙製の段ボールに代わって、折り畳み可能なプラスチック段ボールを採用し、回収からアルコールによる自動洗浄、製函までの全工程をシステム化しています。この仕組みは紙粉・紙片などの混入の危険性を大幅に減少させるだけでなく、段ボールケースレスにより環境負荷の低減、さらに乳業メーカーはミルクカートン自動投入機を導入することによる人員削減も可能になるのです。また、寿命に達したプラスチック段ボールは再び成型してリサイクル使用できるので、ゼロエミッションを目指す乳業メーカーには大変魅力的な提案なのです。


注1:HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point) 食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード:Hazard)を分析し、それを最も効率よく管理できる部分(CCP:必須管理点)を連続的に管理して安全を確保する管理手法。


「創る」の強みを生かした次なる「遮光パック」

 北越パッケージは「創る」の優位性をさらに高め、次なる競争優位を確立する作戦として、遮光性・美粧性を備えた、多機能飲料パックを開発し市場に投入しています。これまでの飲料パックは、小売店の棚に陳列されている間に、強力な陳列照明により中身が劣化するという問題を抱えていました。これまでもこういった問題に対処するために、アルミ箔をコーティングした遮光パックが用いられていましたが、コスト面での問題によってごく限られた高級商品などに限られていました。北越パッケージはアルミ箔の代わりに、独自の特注インキを用いて最高レベルの遮光性能と低コストを両立した遮光カートンを開発したのです。

TOC導入の目標は利益3倍

 ここまで説明してきたTOC手法を実践すれば、3〜4年で利益を3倍に増加させることも不可能ではありません。例えば、

  • 売上高100億円
  • 営業利益5億円(利益率5%)
  • 固定費65億円
  • 変動費30億円

の企業の場合、利益増を売上増で賄おうとすれば、3倍の売上高が必要になります。また固定費の引き下げで3倍の利益を確保しようとすれば、10億円のコストダウンが必要となります。どちらも極めて非現実的なアプローチです。

 しかし「造る」の優位性で獲得した20%の生産能力を使って、新しいビジネスモデルによる製品を20%高い価格で販売できたらどうなるでしょうか。

売上高120億円−固定費65億円−変動費36億円=19億円


となり、利益は3.8倍となります。これならば、現有の経営資源でも決して不可能ではないことを理解していただけると思います。

 事例で紹介した北越パッケージ以外にも、日立ツールでは2000年から全社的にTOCに取り組み、2007年3月期は売上高240億円、営業利益は57億円と、過去最高益を更新しました。2002年3月期の営業利益が16億円であったことを考えると、5年で約4倍という驚異的な伸び率を示しています。また営業利益率に関しても、23.8%と製造業としては驚異的な数字をたたき出し、同業他社と比較しても際立った業績を達成しているのです。

 いずれの事例も、始まりは工場改善でした。真のTOCを活用して改善成果を企業力に結び付ける取り組みを行えば、皆さんの企業でもきっと実績を上げられるでしょう。(連載完)

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