ヒストリーCADには、「部品」に対して「部品ファイル」が、「アセンブリ」に対して「アセンブリのファイル」が存在します。故に、ヒストリーCADでの設計手法だと、以下のようなと準備作業が必要になります。
その後で、やっと部品のモデリングが開始できます。
一方で、ノンヒストリーCADでは、パーツとアセンブリの区別がなく、基本的にすべての設計要素が1つのファイルに保存されます(異なるファイルの形式を使うことで、パーツごとに保存することも可能です)。
よって、この事前の準備が必要ありません、新しい設計の仕様を確認し、「ピピーン!」とインスピレーションを感じた瞬間から設計に入る事が可能なわけです(実際には、王道ルールに基づかなければヒストリーCADでも事前準備は省略可能だと思います)。
上記が、ヒストリーCADとノンヒストリーCADの大きな違いといえます。
ノンヒストリーCADのモデリングでは、モデルが崩壊する心配がないため、ルールにとらわれず、自由にモデリングができるだけではなく、モデリング時の最初の一手や、今後の筋道を決める重要な形状を作成するときのプレッシャーや、設計に入る前のファイルやツリー構造の事前準備から解放されるのです。
ワンフィーチャで正しい位置から設計するのも、形状はガンガン進めつつ位置は適当に設計するのも、適当な形状を適当な位置に置いてからあれこれ考え出すのも、自由だ! やりたいように、思うままに進めればいい、「ノンヒストリー イズ フリーダム」です。
これにて、ノンヒストリーCADの道具としての特徴が、だいたいお分かりいただけたでしょうか? 次回は、便利なコマンドの紹介など実用的なノンヒストリーCADのテクニックを説明したいと思います。(次回へ続く)
本目 成男(ほんめ しげお)
1970年東京生まれ。1993年にコニカ(現コニカミノルタ)に入社。オプトメカトロ部門で、精密機器の設計・開発に携わる。傍ら、3次元CADの設計への本格導入と3次元CADの乗り換えの旗振りも務める。
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