個人使用目的でも模倣品は没収、関税法改正で模倣品の水際対策をさらに強化:知財ニュース
日本弁理士会は2022年11月21日、同年10月1日に施行された改正関税法による模倣品対策の強化について影響などを解説するオンライン説明会を開催した。法改正によって、個人使用目的でも模倣品は税関で没収される可能性がある。
日本弁理士会は2022年11月21日、同年10月1日に施行された改正関税法による模倣品対策の強化について影響などを解説するオンライン説明会を開催した。法改正によって、個人使用目的でも模倣品は税関で没収される可能性がある。
商標権などの侵害物品を「輸入してはならないもの」に
日本弁理士会によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経て、オンライン経由での模倣品購入件数が増えており、その販売チャネルはEコマースサイトなどのマーケットプレースが8割を占めているという。Eコマースの市場が拡大したことで海外の事業者から国内個人に対して直接模倣品を送付する事例が増加しているが、これが模倣品輸入の抜け穴になることを防ぐため、商標法と意匠法において「輸入」の定義を変更して水際対策を強化する対策が2021年に実施された。
この中で、関税法においても個別かつ少数の模倣品輸入への水際対策強化などを目指した法改正が行われた。具体的には海外の事業者から国内の個人など事業性のない者に郵送された商標権や意匠権などを侵害する物品を、「輸入してはならないもの」に含めるなどしている(関税法第69条の11)。
また、輸入者が輸入しようとする物品について「輸入してはならないもの」に該当しないと主張する場合は、税関長がそれを証明するための書類などの提出を輸入者に求めることができる(同法第69条の12)。この書類には、海外から物品を郵送した仕出人の氏名や名称、住所、職業や事業性を証するものなどが含まれる(関税法施行令第62条の16)。これらの情報などを総合的に勘案して、仕出し人が業として、すなわち事業性をもって模倣品の輸出を行っているかを判断することになる。
これらの改正関税法は、旅客が携帯して国内に持ち込む場合は規制の対象にならない。ただし、行為に反復性が認められる場合は取り締まりの対象となる。また、模倣品を輸入しようとした者に対する罰則はないが、これも反復性が認められる場合は同じく罰則の対象となる。
なお、改正関税法によって個人使用目的であっても模倣品は税関で没収される可能性が生じることとなった。この場合、税関に対して購入代金の返還を求めることはできず、補償を求める場合は個別の事例として商品を購入したEコマースサイトなどに問い合わせる必要があるという。なお、Eコマースだけでなくオンライン上でユーズド商品を仲介するサービスなどを利用した場合も、これらの規制の対象となる。
日本弁理士会 貿易円滑化対策委員会 委員長の福森智哉氏は「消費者としてはより安心安全なマーケットプレースで購入をすべきであろうし、マーケットプレースのプラットフォーマーとしてはこうした消費者への補償を充実させることも大事だ。しかしそれよりも、そもそもプラットフォームに模倣品が出品されることを防ぐための努力が必要となる」と指摘した。
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