トヨタがロシア生産を終了、「生産再開の可能性が見いだせない」:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車とトヨタ・モーター・ヨーロッパは2022年9月23日、生産拠点であるロシアトヨタのサンクトペテルブルク工場での生産事業を終了すると発表した。同工場ではロシア市場向けの「RAV4」や「カムリ」を生産していた。
トヨタ自動車とトヨタ・モーター・ヨーロッパは2022年9月23日、生産拠点であるロシアトヨタのサンクトペテルブルク工場での生産事業を終了すると発表した。同工場ではロシア市場向けの「RAV4」や「カムリ」を生産していた。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった後、サンクトペテルブルク工場で部品調達ができなくなり、2022年3月4日に操業を停止した。その後も稼働再開に向けて生産ラインの保全を続けてきたが、生産を再開できる可能性が見いだせないと判断し、事業終了を決めた。
プレスリリースでは「ロシアにおける生産事業を終了する決断は、決して軽々しくできることではなく、どのような道が最善なのか、トヨタとして検討を重ねてきた」「このままではトヨタが目指す製品づくりができないこと、また、現在の状況が続けば共に良いクルマづくりを目指してきたロシアの従業員に対して十分な支援ができなくなることから、ロシアでの生産活動を終了すること以外に選択肢がないと判断した」と述べている。
サンクトペテルブルク工場では従業員に対し、経済的なサポートや再就職、リスキリングなど最大限の支援を提供するとしている。また、ロシアトヨタのモスクワの拠点は規模を縮小して、トヨタ車とレクサス車のユーザーに向けたサポートとネットワークを継続するために再編成する。販売/サービス拠点はロシアトヨタ傘下に168拠点ある。
サンクトペテルブルク工場での生産がスタートしたのは2007年12月だった。操業開始時点の投資額は50億ルーブル(当時の為替レートで220億円)で、年間生産台数の計画は5万台を見込むなど将来のロシア市場の成長に期待を寄せていた。
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