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ナイロン、電池、半導体……クルマに不可欠だからこそ、注目が集まるオートモーティブ 年間ランキング2021(2/2 ページ)

本稿は、1年間に読まれた記事をランキングで振り返る、MONOistの毎年恒例の企画です。2020年に同じように作成したランキングを読み返してみると、工場の操業予定に関する複数の記事が上位に入っていました。2021年のランキングにそうした記事はありませんでしたが、毎月発表される日系自動車メーカーの生産動向を見ていると、2021年の前半は前年の生産台数を上回る月もありましたが、徐々に前年割れの月が増えていったように思います。

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電池なしには語れない2021年

 2位、3位、4位は電池の話題です。電動車、特にEV(電気自動車)の展開計画について上方修正する自動車メーカーが相次いでおり、電動車の商品力を左右する電池に注目が集まるのは当然のことです。

 4位の記事「実車で走って分かった全固体電池の課題は「寿命の短さ」、EVよりもHEV向き?」はトヨタ自動車の電池の調達や開発の方針をまとめた記事です。全固体電池の寿命の短さを明言したことも話題になりました。

 2位の記事「なぜリチウムイオン電池は膨らむ? 電解液を劣化させる「過充電」「過放電」とは」と、3位の記事「リチウムイオン電池で発熱や発火が起きる要因を整理しよう」は、2021年に始まった連載「今こそ知りたい電池のあれこれ」からランクインした記事です。

 ちょっとした裏話ですが、この連載の第1回のテーマは「なぜリチウムイオン電池は膨らむのか」でした。編集担当としてイメージ写真を用意するため、社内に「膨らんじゃった電池が手元にあったら写真を送ってください!」と頼んだところ、PCやスマートフォンの写真が想像以上にたくさん集まりました。また、写真を撮ってくれた人からは「こういう電池ってどう処分したらいいの?」という質問も寄せられました。

 リチウムイオン電池も、ナイロンや半導体と同じようにさまざまな分野で活躍する重要な部品です。リチウムイオン電池を使った製品のおかげで生活が変わることもあります。「今こそ知りたい電池のあれこれ」には、リチウムイオン電池の仕組みや、性能を左右する材料、トヨタ自動車が採用して話題になった「バイポーラ型」など、さまざまなテーマの解説があります。ぜひ読んでみてください。

電装部品、HILS、CAN FD……根強く読まれた解説も

 2021年に公開した記事のランキングを紹介してきましたが、2020年より前に公開した記事もたくさん読まれました。

 例えば、過去の人気連載「いまさら聞けない 電装部品入門」の記事の1つである「大解剖! スターターモーターの仕組み」が人気でした。

 回路図や分解した構成部品など、図版を多用しながらスターターモーターについて解説しています。この連載では、鉛バッテリー、オルタネーター、エアバッグ、カーエアコンなどさまざまな電装部品を紹介していますので、ぜひご覧ください。

 よりテクニカルな解説では、「HILSとは何か」「次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは」も根強く読まれました。どちらも専門家が執筆した解説です。

 HILSとは、Hardware In the Loop SimulatorあるいはHardware In the Loop Systemの略で、ECUのテストに欠かせません。ECUの制御対象となるメカをバーチャルに作ることで、ECUのテストを実現します。連載は「これまでHILSのことをほとんど知らなかった方が、HILSの導入や、HILSを使ってECUのテストを行うために基本的な知識を提供することを目指します」(本文より)というコンセプトで全13回にわたって解説しています。

 CAN FDは、CANよりも高速な車載ネットワークです。記事では、CANとは何が違うのか、どのようなプロトコルなのか、詳しく説明しています。CAN FDではなくCANについて解説した過去の人気連載「車載ネットワーク“CANの仕組み”教えます」と併せてご覧ください。


 年末が近づく中で、気になる発表も飛び込んできました。2021年12月24日、日産自動車と三菱自動車が、共同で企画した軽自動車の衝突試験において「一部条件下ではエアバッグの性能が十分発揮されない可能性がある」と発表しました。該当車種は日産自動車「ルークス」と三菱自動車の「eKスペース」「eKクロス スペース」で、確認作業のため生産や出荷が停止したままです。

 別件ですが、日立Astemoはブレーキとサスペンションの抜き取り試験などに不適切な行為があったと発表しています。

 日産と三菱自の方は詳細が明らかになっていませんが、2021年12月3日から始まった生産停止は、年末年始を挟んで1カ月以上に及ぶことが確定しました。日立Astemoの方は20年にわたって続いた不正で、どのように不正が始まり、これまで続いてきたのか、特別調査委員会による調査結果が後日公開される予定です。どちらも続報が気になりますが、他社で同じような例が出てこないことを願っています。

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