ポンチ絵
機械設計において、「ポンチ絵」とは設計意図や構想、機構の仕組みの案を伝えるための手描きの図を指す。ポンチ絵の作図は紙と筆記具(鉛筆や製図用シャープペンシルなど)を用いて行うが、最近はタブレット端末を使って描くことも増えている。
設計物を立体表現できる3D CADが普及している今も、設計現場ではポンチ絵が必要とされている。設計物の仕様を考慮しながら、ポンチ絵を描いておおよその構造や形状を決めた後、3D CADの作図へ移行する。
3D CADのオペレーションは、近年の技術向上で直感的で簡便になってきたものの、作図の手軽さは手描きの描画には及ばない。また、3D CADで立体を描画する際には、前もって、頭の中で構造物のおおよそのイメージが立体的に描けているかどうかが重要である。一から設計物を構想していく際には、まずポンチ絵の描画によって製品仕様を整理しながら、形状を論理的に決めていく方が効率が良いとされる。ポンチ絵は、人と会話をしながら、手元でリアルタイムに描画していけるところも利点であり、打ち合わせ時には有効なコミュニケ—ション手段となる。
頭の中で構造物を立体的に描き、ポンチ絵を描画するためには、実物に触れて、工作などの作業をする経験の積み重ねが必要である。当然、実物での作業体験が乏しくなれば、寸法や奥行きの感覚が養われず、ポンチ絵の描画で苦労することになる。
語源は、イギリスの雑誌「Punch, or The London Charivari」(1841年刊行)の日本語版「Japan Punch」であり、マンガ・滑稽(こっけい)画のことを指す。ポンチ絵は一般的には、手描きのラフ画などを指すことが多い。
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