構造解析、いろいろあれど……:構造解析、はじめの一歩(3)(3/3 ページ)
「構造解析」を“設計をより良いものとするための道具”として捉え、実践活用に向けた第一歩を踏み出そう。第3回は、構造解析の種類について詳しく解説する。
設計のための解析
構造解析のはじめの一歩としては、「線形静解析」と「固有周波数解析」を理解することにしましょう。
実際には、連載第1回で紹介した通り、設計者の行うCAEは、単なる線形静解析や固有振動数解析では検証できないところまできています。
しかし、線形静解析や固有振動数解析の理解と習得なしでは、非線形のエリアに入っていくことはできません。
安全率を考慮しない場合、部品に発生するミーゼス応力が材料の降伏応力を超えなければ、そこまでは応力とひずみが線形です。つまり、掛けた荷重を除荷したときに変形が完全に元に戻る、ということです。曲がったり、壊れたりはしません。線形静解析によってミーゼス応力を求めることができます。
また、ほとんどの機械には振動が伴います。固有周波数が分かれば、共振を起こさないように構造を変更して、固有周波数をズラすことが可能です。
設計時に線形静解析と固有周波数解析を用い、構造や部品の特性を検討することによって、設計の検証を行うことができます。 (次回に続く)
コラム:
社会に出てから37年間、3D CADや構造解析の仕事をしてきました。その間、モノづくりの現場で頑張る設計者の方々とたくさん話をしてきました。製品に関する一切の責任を背負って孤軍奮闘する設計者の生き様に感動しました。もっと設計者の話を聞きたい、設計の勘所を知りたいと思うようになりました。自学自習の一つとして1冊の本を探していました。探していた期間は15年以上になります。その本のタイトルは以下の通りです。
別冊付録「設計に関する48章」−実践設計技術者の要点−
今から51年前の工業系雑誌の付録です。教科書には載っていないような設計理念やコツを学べる、設計者のための実践設計学のようなものです。その雑誌は、機械設計に関する最新技術やノウハウが掲載される月刊誌です。歴史は非常に古いと言えます。1969年時点にはもう存在していたので、51年以上、実に半世紀以上の歴史があるというわけです。現われては消えていく雑誌のカテゴリーの中で、長く読み継がれた雑誌であることが分かります。長きにわたり、日本の製造業に情報を提供し続けてきたのですね。
別冊付録だからでしょうか。これがなかなか見つかりません。出版社にも聞いてみましたが、発刊から既に50年以上が経過していますので、保管しているわけもなく……。国会図書館は、本誌こそ保管していますが、付録までは……ということでした。
その付録をやっと見つけることができました。コピーではありますが、全ページそろっており、ヌケモレはありません。コピーにコピーを重ねたせいか活字そのものがかすれています。そのほぼ消えかけた活字を判読しながら、テキストに書き起こしました。全72ページに活字ギッシリのかなりのボリュームです。モノづくり大国ニッポンの先人の設計哲学が詰め込まれています。
日本は製造業で国力を得ました。今後も日本の国力は製造業しかありません。その製造業の発展を祈りながら、「設計に関する48章」をいつか皆さんに届けることができますように。
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