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「標準時間」とは何か?(前編)よくわかる「標準時間」のはなし(3)(2/5 ページ)

日々の作業管理を行う際の重要なよりどころとなる「標準時間(ST;Standard Time)」を解説する本連載。第3回では、製造企業の現場で間違って認識されていることが多い「標準時間」について正しく理解するために、その定義や構成について解説する。

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2.標準時間の構成

 会社における労働時間は、多くの企業で1日8時間となっています。この所定時間を「実働時間」とすると、内訳は「標準時間」と「除外時間」に大別することができます。すなわち、実働時間の中には、標準時間に含まれていない無作業時間、雑作業時間、私用を含むその他の時間が含まれています。これらの除外時間は、文字通り、できる限り除外すべき時間でもあります。

 また、「標準時間」は単に時間観測による時間値ではなく、標準時間の定義にもあるようにいろいろな条件に合致させるため、後述する係数や時間を付加したものです。簡単な言い方をすると、次のような構成になっています。

標準時間=作業時間+余裕時間=作業時間×(1+余裕率)

 以下の「図1 標準時間と実働時間の構成」は、実働時間に対する標準時間の位置付けと、標準時間の構成を示したものです。また、標準時間の構成項目についての説明も加えておきました。

図1
図1 標準時間と実働時間の構成(クリックで拡大)

2.1 実働時間

 実働時間(就業時間)は、始業時より終業までの時間から休憩時間を除いた時間のことです。いわゆる“拘束時間”と捉えるといいでしょう。

2.2 作業時間

 作業時間は、一定の作業条件のもとにおける作業遂行に要する時間のことで、余裕時間を含まない実際に作業を行う時間のことです。作業時間は、段取り時間と正味作業時間で構成されています。

2.3 段取時間

 段取時間は、作業命令(書)の受領や作業場の準備、機械や工具の準備、作業の後始末などに必要な時間で、同一加工品の任意の制作個数に対して、ただ1回のみ生ずる時間のことです。つまり、製作(作業)数量に関係なく、何個造っても1回のみ発生する時間のことをいいます。このことが、作業の種別が段取作業か否かの判断のよりどころとなります。

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