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「標準時間」とは何か?(前編)よくわかる「標準時間」のはなし(3)(4/5 ページ)

日々の作業管理を行う際の重要なよりどころとなる「標準時間(ST;Standard Time)」を解説する本連載。第3回では、製造企業の現場で間違って認識されていることが多い「標準時間」について正しく理解するために、その定義や構成について解説する。

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2.5 余裕時間

 1日の作業時間の中には、作業目的を遂行する上で、どうしても必要な作業時間の他に、一見、不要と思われるがよく検討すると現状の作業方法ではやむを得ない間接的な作業や、人間である以上は避けられない疲労回復などの時間が該当します。このような直接作業として割り当てることができない時間を一定の割合で付加しておくことが必要となります。

 余裕時間は、作業の遂行において、作業者自身では避けることのできない不規則に発生する遅れ時間をいいます。ある時間に対して平均値として扱うもので、余裕時間には、次の作業余裕、職場余裕、個人余裕、疲労余裕があります。

 いま、仮に手作業時間10分、機械自働送り時間(その間、作業者は手待ち)8分、合計の正味時間18分の作業であれば、この場合の標準時間は次のように算出されます。

  • 作業余裕率;5%
  • 職場余裕率;5%
  • 個人余裕率;3%
  • 疲労余裕率;10%……とすれば、標準時間は以下の通りとなる。

標準時間=18分×(1+0.05+0.05+0.03)+10分×(1+0.10)=21.34分

 余裕率は、一般に主体作業に対する比率で算出します。この例では、機械時間(MT;Machine Time)に対しては、作業者は機械加工が完了するまで手待ちになっていることから疲労余裕(率)は考慮していません。

(1)作業余裕時間

 作業の特殊性から不規則に発生する作業に直接関係した遅れ時間のことです。その作業に特有な避けられない遅れで、例えば、刃研ぎ、異常な材料による超過時間、作業中に不規則に起こる注油や清掃、工具や器具の交換修理、作業の中間で発生する刃具研磨などをいいます。

(2)職場余裕時間

 工場や職場に特有な避けられない遅れのことで、作業に直接的には関係はありませんが、その職場の管理または会社や職場のルールなどによって発生するものをいいます。工場や職場の管理方式により左右される遅れ時間であり、例えば、材料待ち、クレーン待ち、指示、伝達、諸記録、朝礼、停電などをいいます。3〜5%位を占めるのが一般的です。

(3)個人余裕時間

 作業者の生理的、保健的理由によって発生する遅れ時間や個人の権益保護に関して必要とする遅れ時間をいいます。例えば、用足し、汗ぬぐい、水飲みなどの個人的、生理的な時間が該当します。

(4)疲労余裕時間(疲れ余裕時間)

 一言でいえば、手作業や機械操作による疲れを回復するための時間です。つまり、工場管理において、定められた作業速度で作業を遂行するに必要な疲労回復のために生ずる遅れ時間のことで、休息や喫煙などを指します。

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