トヨタの人工知能開発子会社が1億ドルのファンド設立、有望なベンチャーに投資:自動運転技術
米国で人工知能(AI)などの研究開発を行うトヨタ自動車の子会社Toyota Research Institute(TRI)は、1億米ドル(約113億円)を投じてベンチャーキャピタルファンドを設立する。
トヨタ自動車は2017年7月11日(現地時間)、米国で人工知能(AI)などの研究開発を行う子会社Toyota Research Institute(TRI)が1億米ドル(約113億円)を投じてベンチャーキャピタルファンドを設立すると発表した。
ファンドはTRIが設立する新会社「Toyota AI Ventures」が運営し、AI、ロボティクス、自動運転・モビリティーサービス、データ・クラウド技術の4分野のベンチャー企業に投資する。TRI本社による助言やサポートも提供し、ベンチャー企業の育成支援も行う。投資に関する知識や経験を持ち、TRIの研究開発業務から分離した専属のマネジメントチームが意思決定を担う。
ファンドのマネージングダイレクターに就任する、TRI データ・事業開発担当 バイスプレジデントのJim Adler(ジム・アドラー)氏は、「TRIだけで全てを解決しようとするのではなく、革新的な技術を生み出すベンチャー企業の成功を後押ししたい。ベンチャー企業が抱える課題の1つに、適切な商品を適切な市場に向けて開発できているか判断する難しさがある。TRIはそうした課題の解決を手助けできる」とコメントしている。
ファンドではTRIが既に実施した投資を引き継ぐ他、新たな投資先も検討していく。TRIは2016年8月にシリコンバレーのIT企業Nautoに出資。NautoはAIを搭載したセンサーを組み合わせたデバイスをフロントガラスに取り付け、道路環境や運転行動をモニタリングするシステムを開発している。TRIを含む複数の企業から総額1200万米ドル(約13億6100万円)の資金調達を実施した。
2017年3月には、自動運転車が周辺の地図情報や位置情報を生成するアルゴリズムを開発するイギリスのSLAMcoreに出資。低消費電力な処理に強みを持つ。続いて、2017年5月にはイスラエルのIntuition Roboticsに資本参加した。高齢者向けに、自宅に居ながら遠方の家族や友人と交流するためのロボットを開発したベンチャー企業だ。
トヨタ自動車はTRI設立前から社外との連携や投資を進めており、2015年12月にはAI技術ベンチャーのPreferred Networks(PFN)と研究開発を共同で行うため提携、10億円を出資している(※1)。また、マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所とスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所ともAIの研究で連携していくことで2015年9月に合意している。2020年までに両校に対して合計5000万米ドル(約56億7000万円)を投資する(※2)。
(※1)トヨタが人工知能ベンチャーに出資、「ぶつからない」ことを学ぶ技術を披露
(※2)トヨタ自動車が人工知能研究で米国2大学と連携、DARPAのプラット氏もスカウト
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