4階は、エアコンや給湯器といった、季節による需要変動が大きい商材の保管エリアだ。
例えば家庭用エアコンは、時期によって生産ベースで5倍程度の波動があり、拠点内の在庫量も閑散期に比べて最大1.5倍ほどに増加する。そのため、6〜7月のピーク時には外部倉庫を併用して在庫を分散させ、需要が落ち着く時期に再び同フロアへ集約させることで在庫をコントロールしている。
拠点の統合は、物理的な集約だけでなく、物流業務の標準化を進める契機となっている。例えば、商品を運ぶパレットは従来、事業会社ごとにサイズや素材が異なり、工場名が記載されているなど仕分けや管理の手間が発生していた。そこで物流部門が中心となり、グループ共通となる1300×1100mmサイズの再生樹脂パレットの導入を進めている。現在は各製造拠点の工場と連携し、効率的なパレットの回転に向けた実証と試行を重ねている段階だ。
現場では、携帯端末(PDA)を活用した入出庫オペレーションを導入し、ペーパーレス化とともに処理進捗や作業者ごとの工数のリアルタイムな可視化を図っている。単なるシステムの導入で終わらせず、トヨタ方式を取り入れた大部屋活動も実践している。「毎朝8時30分からの朝礼には協力会社の作業員も参加し、安全や品質、生産性に関するデータと当日の計画を共有。前日の振り返りや気付きを日々の業務に反映させることで、現場主導の継続的な改善活動を定着させている」(同社の説明員)。
空間を有効活用する移動棚や自動搬送シャトルといったハード面の導入に加え、パレットの標準化、ITを活用したペーパーレス化などが相乗効果を生み出している。一連の取り組みの結果として、同拠点における保管効率は従来比で27%向上し、業務生産性も26%の改善を実現している。
パナソニックグループは、分散する物流倉庫の統合や最適化を目指す「国内物流革新プロジェクト」を2020年に発足し、このたび関西第一拠点での本格稼働を実現した。しかし、日々の物流稼働を止めることなく9つの拠点を1カ所に集約し、パートナー企業の理解を得ながら新たなオペレーション基盤を構築することは、決して容易な道のりではなかった。
続く後編では、本プロジェクトの立ち上げに至った背景や狙い、さらには新たに始動した首都圏でのプロジェクトの全貌について、取り組みを率いたパナソニック オペレーショナルエクセレンス 執行役員 物流担当 兼 物流本部長の安藤健太郎氏の話を中心に解説する。
パナソニックグループの「PX」は6年目へ 情シスと調達、物流の革新の現在地は
4年目を迎えたパナソニックの「PX」、業務プロセスの変革が着実に進む
パナソニック新CIOが目指すPXとは、情シス部門を歴史と伝統の呪縛から解き放つ
パナソニックHDの代表取締役副社長に「PX」の玉置氏、変革をさらに加速
AIで勝つ企業へ、パナソニックグループは2035年までにAI関連売上30%を宣言
パナソニックが「SAP S/4HANA Cloud」をコアとしたクラウドオファリング導入
パナソニック新体制の主役は事業会社、“裏方”HD会社はDXとGXを積極推進Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク