今回のメディア向け成果発表会では、採択された51社のうち14社が登壇した。
国産ヒューマノイドの開発を目指すアトムは、歩行と全身の制御をシミュレーター上で学習させ、実機で通常歩行と早歩きを確認した。人が遠隔操作した動きを記録し、そのデータから研究開発用途の自社モデルを学習させて、荷物の仕分け作業などで一定の精度に到達したという。カメラを介して人間と同じ視点で得るEgoView(自己視点)データだけでは学習が難航したが、遠隔操作で得たデータを組み合わせることで学習が進んだという。AWSの計算リソースやフィジカルAIチームとの技術ディスカッションを活用した。
ZEALSは準国産の台車型セミヒューマノイド「D1」の開発に挑戦。今回のプログラムに採択された2026年3月時点では、中国のUnitreeの機体を使ってソフトウェア開発に専念していたが、同年8月には「D1」の発表に至った。この過程において、AWSはモデル開発に使うデータ処理基盤の構築、学習の分散処理への対応、データ変換の高速化を支援した。
ダイフクとJDSCは、人間が言葉で指示した内容を、AIエージェントが自律的にロボット制御の単位に細分化し、実行する仕組みの構築を目指した。なお、ロボットの基本動作と安全条件をあらかじめ用意しておき、作業手順は事前に定義しない方式とした。両社は2025年にDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する戦略的パートナーシップを締結。ダイフクのマテリアルハンドリング技術とJDSCが持つAI技術を掛け合わせ、革新的なマテハンシステムの開発に取り組んでいる。AWSのSageMaker(セージメーカー)などを活用し、効率的なモデルの学習からシミュレーション環境での評価までを短期間で実施した。シミュレーション環境での評価としては、学習を行っていない「未知の商品」や「仕分け先の組み合わせ」に対して成功率97%を達成したという。
Highlandersは、国産の四足歩行ロボット、ヒューマノイドおよびAI基盤モデルとなる「Kepler」の開発に取り組んでいる。Highlanders CEOの増岡宏哉氏は、フィジカルAIの最大の課題を「データの不足」と指摘。例えば画像認識のAIのトレーニングには、Web上の画像を活用できる一方、「フィジカルAIにおける物を握る時の感触や、地面を踏みしめる時に膝に加わる力などのデータは不足しており、これから人類が蓄積していく必要がある。ロボットを現場で動かすと言ってもロボットの品質が高くなければならない」(増岡氏)とする。
今回は、「Kepler」を支える一連の仕組みをAWS上に構築。AWS上では、遠隔操作などで生まれる大量のロボット動作データを集約して整える処理や、実機での収録だけでは足りない例外的な状況をシミュレーターの並列実行で補って学習用のデータを生成する処理などを行った。
ファナックとフィジカルAI、現場主義の開発思想
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