日産「AIで再び世界トップの開発力へ」、独自の統合型次世代AIDV基盤描く車載ソフトウェア(1/2 ページ)

日産自動車は「AWS Summit Japan 2026」において、次世代モビリティ「AIDV(AIディファインドビークル)」に向けたクラウド基盤構築の取り組みと、AIを活用したソフトウェア開発環境の今後の展望を語った。

» 2026年07月01日 07時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 日産自動車はアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の年次イベント「AWS Summit Japan 2026」(2026年6月25〜26日、幕張メッセ)において、次世代モビリティ開発に向けた、クラウド基盤構築のセッションと実車を用いた新機能配信のデモンストレーションを行った。

 セッションに登壇した日産自動車 ソフトウェアデファインドビークル開発本部 オフボードプラットフォーム&サービス開発部 エキスパートリーダーの村松寿郎氏は、「北米や中国といったグローバルのライバルが次々と新モビリティを出している。われわれの足りていない開発力をAI(人工知能)で補い、もう一度世界のトップの開発力に追い付く」と語り、AIとクラウドを活用したソフトウェア開発環境の重要性を強調した。

(左から)日産自動車 ソフトウェアデファインドビークル開発本部 ソフトウェアプラットフォーム&アーキテクチャ開発部 統括&開発環境グループ 主管の三輪剛氏、同 ソフトウェアデファインドビークル開発本部 ソフトウェアプラットフォーム&アーキテクチャ開発部 部長の杉本一馬氏、同 村松寿郎氏 (左から)日産自動車 ソフトウェアデファインドビークル開発本部 ソフトウェアプラットフォーム&アーキテクチャ開発部 統括&開発環境グループ 主管の三輪剛氏、同 ソフトウェアデファインドビークル開発本部 ソフトウェアプラットフォーム&アーキテクチャ開発部 部長の杉本一馬氏、同 村松寿郎氏

日産が目指す「AIDV」とは

 日産自動車は次世代モビリティのビジョンとして、「AIDV(AIディファインドビークル)」を掲げている。これはSDVプラットフォーム上にAI技術を統合し、新たな顧客体験を創出するコンセプトだ。中核となる機能には、市街地での自動運転技術を指す「AIドライブ」と、ユーザー体験を支援する「AIパートナー」を据える。

日産自動車が掲げるAIDVビジョン 日産自動車が掲げるAIDVビジョン[クリックで拡大]

 AIドライブは、エンドツーエンドの自動運転を支える技術である。AIパートナーは、AIエージェントが顧客のスケジュールやバイタル情報と連携し、疲労状態を検知して休憩を提案するなど、パーソナライズされた移動体験を提供する機能などを目指している。

日産自動車の村松寿郎氏 日産自動車の村松寿郎氏

 一方で、車両の販売後も継続的にソフトウェアをアップデートしていくためには、従来の開発手法の刷新が必要となる。これまでの車載ソフトウェア開発は、実車の電子制御ユニット(ECU)にプログラムを書き込んで評価を行う手順を踏んでいた。多数のECUを連携させる複雑な設計や安全要件の網羅が求められ、仕様変更からテスト完了までに数カ月を要していた。

 村松氏は、「AI機能を高頻度で進化させるためには、物理的なハードウェアの制約からソフトウェア開発を切り離し、迅速に開発や評価を行える環境が不可欠だ」と指摘した。

「Nissan Scalable Open Software Platform」で開発工程を統合

 日産自動車が開発する「Nissan Scalable Open Software Platform(日産スケーラブルオープンプラットフォーム)」は、AIDV開発を加速するため、車載ソフトウェア開発の工程を統合するクラウドネイティブな開発基盤だ。要件定義、実装、ビルド、テスト、車両へのOTA(Over The Air)配信までの一連の工程をシームレスに管理する。

 プラットフォームは主に、窓の開閉やエアコンの温度調整といった車両の基本機能をモジュール化してビークルAPIとして提供する「Nissan Scalable Open OS」、開発エンジニアがAPIを呼び出し複雑なインタフェース設計を意識せずにアプリケーションを構築できる「Nissan Scalable Open SDK(ソフトウェア開発キット)」、顧客や車両データをAIで扱いやすいよう整形/管理する「Nissan Scalable Open Data」で構成される。

Nissan Scalable Open Software Platform Nissan Scalable Open Software Platform[クリックで拡大] 出所:日産自動車

 これら3構造によりソフトウェア開発プロセスを自動化し、AIツールを実装することで、開発スピードと品質を高める。実機を使わずにPCのクラウド環境上で車両の挙動をシミュレーションしソフトウェアの評価を完結できるため、実装までに要する時間を削減できるという。

AIソフトウェア開発の概要 AIソフトウェア開発の概要[クリックで拡大] 出所:日産自動車
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