AWSジャパンの年次イベント「AWS Summit Japan 2026」の2日目に行われたスペシャルセッションにおいて、ファナック 常務執行役員 ロボット研究開発統括本部長 安部健一郎氏が登壇。フィジカルAIにおけるAWSとの最新の取り組みと今後の展望を語った。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の年次イベント「AWS Summit Japan 2026」(2026年6月25〜26日、幕張メッセ)の2日目に行われたスペシャルセッションにおいて、ファナック 常務執行役員 ロボット研究開発統括本部長 安部健一郎氏が登壇し、フィジカルAIにおけるAWSとの最新の取り組みと今後の展望について語った。
ファナックは工作機械の制御装置事業で約70年、ロボット事業で約50年の歴史を持つ。現在、世界各地の工場で120万台を超えるファナックのロボットが稼働している。アマゾン(Amazon.com)でも、コンベヤー上を流れる荷物をピッキングして搬送ロボットなどにわたす「Robin(ロビン)」や、多様な荷物を1個ずつ箱詰めする「Sparrow(スパロー)」としてファナックのロボットが活用されている。
近年、製造業を取り巻く環境は複雑化している。国際情勢を含めて不確実性が高く、少子高齢化などを背景に労働力の確保が困難になっている。そういった中で、国際競争力を保つためには、人手に頼らず、安定して効率的に品質を高く生産する仕組みが不可欠だ。
安部氏は「そのために必要なのはインテリジェンスだ。周辺環境を認識し、ロボットが自ら考えて動くシステム、それがフィジカルAIとなる」と話す。
ファナックは2025年12月に、フィジカルAIの実装に向けオープンプラットフォーム対応を推進する方針を発表した。カギとなるのは3つの取り組みだ。
1つ目はオープンソースのロボット開発プラットフォーム「ROS 2」対応となる。ファナックが開発した公式のROS 2ドライバをGitHubで公開した。
2つ目はAI開発で広く使われるプログラミング言語「Python」への対応だ。ロボット制御においてPythonコードが実行できるようになり、Pythonで開発したAIによるロボット制御が可能になった。
3つ目はファナックが開発した位置データ指令高速通信機能である「Stream Motion(ストリームモーション)」の実装だ。1msという超高速通信制御により、滑らかで精密な動作を実現する。
安部氏は「これらの展開により、当社だけではなく、世界中の開発者がファナックのロボットの上でAIアプリケーションを構築できるようになった。ファナックはNVIDIAとの協業を開始し、デジタルツインとエッジAIで、ロボットに見て、考えて、動く力を与えた。次に必要なのは、その知能を全世界で共有し、進化させ続ける基盤だ」と述べる。
ファナックとAWSとの連携は、実は10年以上に及ぶという。ファナックでは、ロボットをネットワークでつなぎ、故障予知やトレーサビリティー、システム監視、予防保全に活用する「ZDT(ゼロダウンタイム)」というサービスを提供している。実はこのZDTは、AWSのクラウド上で運用されていたのだ。安部氏によれば、AWSのクラウド活用を初めて公表したという。
「ロボットや制御装置の状態をリアルタイムで監視することで、これまでに5000件以上の計画外停止を未然に防ぐことができた。このコネクティビティーとロボットの状態管理はフィジカルAIにおいても重要な機能となる」(安部氏)
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