製造業が見直すサプライチェーン ものづくり白書で見る経済安全保障の実態ものづくり白書2026を読み解く(5)(1/2 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2026年版ものづくり白書」が2026年5月29日に公開された。本連載では「2026年版ものづくり白書」の内容から製造業のDXや競争力などに関するポイントを抜粋して紹介する。今回は、重要性が高まる経済安全保障への対応についての動向を取り上げる。

» 2026年07月08日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 経済産業省、厚生労働省、文部科学省は2026年5月29日に「2026年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」を公開した。

 ものづくり白書とは「ものづくり基盤技術振興基本法(平成11年法律第2号)第8条」に基づき、政府がものづくり基盤技術の振興に向けて講じた施策に関する報告書だ。2026年で26回目の策定となる。経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が共同で作成しており、モノづくりに関する基礎的なデータや、その年の課題や政府の取り組み、モノづくり振興施策集などを紹介している。今回は、経済安全保障への製造業の対応についての動向を紹介した、第4章第4節の内容をまとめた。

⇒過去の「ものづくり白書を読み解く」はこちら

経済安全保障については半数以上の企業が何らかの対応

 ものづくり白書の作成に向けて実施された三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」によると、製造業の経済安全保障に関する取り組みについて「実施している」とした回答は55.6%となり、2024年度の38.2%よりも大きく増えた。米国関税措置など、さまざまな地政学的な情勢変化が生じている中、経済安全保障についても対応を進める動きが広がっている。

photo 製造業の経済安全保障の取り組みの実施有無[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

 経済安全保障に関する取り組みとして実施しているものについては「情報管理体制やサイバーセキュリティの強化」が30.7%で最も多く、次いで「部素材調達先の変更や多元化」(27.2%)、「直接の取引先、最終的な需要先、提携先の精査」(15.5%)、「社内研修の開催」(12.8%)などが上位に挙がっている。特に地政学的な影響による素材不足や、米国関税問題などで苦しんだサプライチェーンに関する取り組みが比較的多い結果となった。

photo 製造業が既に実施している経済安全保障に関する取り組み内容[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」

 経済安全保障に関する取り組みを行う体制については「新たに専門部署を設置」とした回答は非常に少なく2.0%となった。最も多かった回答は「特に体制は設けず、必要に応じて対応」が37.9%となった。次いで「既存の事業部門内で対応」(23.7%)、「既存の本社機能(部門)内で対応」(19.9%)となった。

photo 経済安全保障への取り組み体制[クリックで拡大] 出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「令和7年度産業関係調査等事業(我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査)報告書」
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