半導体の高密度化に必要なハイブリッド接合。しかし、接合界面が微細かつデバイス内部にあるため、実際の強度を測ることは難しい。東レリサーチセンターはこの課題を解消するサービスの提供を開始した。
東レリサーチセンター(TRC)は2026年6月10日、半導体のハイブリッド接合において課題だった「実デバイス内部の接合強度」を直接定量評価する分析サービスを開始したと発表した。
ハイブリッド接合とは、金属配線(主にCu電極)同士の電気的接続と、周囲の絶縁層(SiOCO2など)の接合を同時に行う半導体接続技術だ。
近年、AI(人工知能)や高性能計算の進展に伴い、半導体の高性能化/高密度化が進み、チップを積み重ねて接続する3次元実装技術の重要性が高まっている。その中核技術であるハイブリッド接合は、金属配線同士の接続と絶縁層同士の接合を同時に実現することで、高密度かつ低抵抗な接続を可能とする技術だ。
一方で、接合界面はnm〜μmサイズと微細であるほか、デバイス内部に埋もれているため、実デバイス状態で接合強度を評価することが困難だった。
また、試料をくさび状に引き開いて剥離させ、その進展挙動から接合強度を評価する手法である「Double Cantilever Beam(DCB)法」など、従来の接合強度評価法では、単純化したモデル試料やウエハー端部での評価に限られ、実際の多層構造やバッファー層を含むデバイス構造を反映した評価が難しい。そのため、実態に即した接合界面の信頼性の把握が困難だった。こうした問題の解決策として、実デバイスに適用可能な接合強度評価技術が求められていた。
TRCは、ダイヤモンド製の圧子を試料表面に押し込み、荷重と変位の関係から弾性率(ヤング率)や硬さを算出する手法「ナノインデンテーション法」による界面強度評価の知見を基盤として、今回の評価法を実デバイスに適用する独自技術を開発した。具体的には、試料の積層構造や材料特性に応じて、評価対象となる接合界面を選択的に露出させる前処理技術(研磨/エッチングの組み合わせ)を確立した。これにより、従来は内部に埋もれて直接評価が困難であった実デバイス内の接合界面を評価することが可能となる。
今回のサービスでは、露出した接合界面に対してナノインデンテーション試験を行い、圧子の押し込みにより接合界面を剥離させ、この剥離領域の形状や大きさを観察/定量化することで、接合強度を評価する。接合強度が低い場合は、接合界面が容易に剥離するため剥離領域が広がり、逆に強度が高い場合は剥離が抑制され剥離領域は小さくなる。この関係により、実デバイス構造における強度の違いを直感的に把握できる。
なお、同サービスにより、「接合強度ばらつきの定量化」「接合不良発生箇所およびメカニズムの特定」「接合条件最適化への直接フィードバック」が可能となる。
TRCは同技術を通じて、半導体メーカーおよび材料メーカーにおける先端パッケージ技術開発を支援し、界面評価技術の高度化を推進していく考えだ。
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