東レリサーチセンターは、先端半導体を対象に、ウエハー状態のまま絶縁膜の総合評価が行えるサービスの提供を開始した。
東レリサーチセンター(TRC)は2026年3月13日、300mmウエハー対応の最新型水銀プローバによる迅速な電気特性評価と、過渡容量分光法(Deep Level Transient Spectroscopy、DLTS)装置による欠陥評価を組み合わせた、先端半導体向け絶縁膜の総合評価サービスの提供を開始したと発表した。従来の特性評価において必須であった評価用デバイスを作製することなくウエハー状態のまま各種特性を評価できるため、開発サイクルの短縮が可能となる。
水銀プローバとは、水銀を用いてウエハー表面に一時的な電極を形成し、電気特性を測定する装置だ。DLTSとは、電気特性の時間変化を解析することで、半導体や絶縁膜中に存在する欠陥の量を評価する手法を指す。欠陥の量はデバイスの性能を左右する重要な指標の1つである。
国内外では生成AI(人工知能)の普及に伴い、データセンターの低消費電力化/高性能化が重要な課題となっている。この解決策の1つとして、絶縁膜における絶縁性の向上と欠陥の低減が必要とされている。この絶縁膜の品質が先端半導体の性能や寿命を左右する。先端半導体では絶縁膜が1nm以下〜数nm程度と極薄で、電気特性/欠陥の評価には高度な専門性が必要となる。加えて、従来は評価用デバイスの作製に時間を要していた。
そこでTRCは、300mmウエハー対応の最新型水銀プローバにより電極形成不要でウエハーのまま基礎電気特性を評価できる他、DLTSにより絶縁膜中と界面の欠陥を評価可能な一貫体制を整備し、迅速な材料スクリーニングと開発効率化を支援する体制を整えた。
今回のサービスでは、新たに導入した300mmウエハー対応の最新型水銀プローバにより、電極形成不要で、絶縁膜を成膜したウエハーをそのまま測定できる。従来必要であった電極形成プロセスを省けるため、材料開発から信頼性スクリーニングまでの期間短縮に貢献する。最新の水銀プローバ装置を用いた代表的な評価項目は以下の通りだ。
経時絶縁破壊とは、一定電圧下で絶縁膜が破壊されるまでの時間を多数回測定し、その結果を統計処理することで、絶縁膜の耐久性および長期信頼性を評価する試験だ。
また、同サービスでは、最新のDLTS装置を活用したTRC独自の技術開発により、極薄絶縁膜における膜中または半導体界面の電気的欠陥を高い再現性で評価可能とした。測定条件の最適化や電極構造の工夫により、従来の汎用電気測定に比べて定量性や、活性化エネルギー分解能の向上を実現している。
今後は、電気特性評価の機能強化や、以前から提供している各種分析(材料物性評価、構造/化学分析など)と新サービスを組み合わせ、開発段階や課題に合わせた総合的な分析サービスを提供する。
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