「中東情勢の影響は軽微」、AGCの現状や対策とは製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

中東情勢緊迫化による原油高と調達難に対し、AGC 代表取締役の竹川善雄氏は「業績への影響は軽微」との見方を示した。業績への影響を抑えるために、どのような取り組みを進めているのか――。2026年12月期第1四半期の決算説明会を通して、紹介する。

» 2026年05月18日 08時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 AGCは2026年5月12日、オンラインで記者会見を開き、中東情勢の影響や2026年12月期の第1四半期(1〜3月)業績と通期業績の見通しを発表した。

進む価格転嫁と調達ソースの多様化

 中東情勢の影響に関して、同社では2026年12月期の第1四半期に生じた原油価格の上昇に対して、一部原料の調達難を見越した生産調整を実施し、全体業績への影響は軽微だという。

AGC 代表取締役 兼 専務執行役員 最高財務責任者(CFO)の竹川善雄氏 AGC 代表取締役 兼 専務執行役員 最高財務責任者(CFO)の竹川善雄氏

 AGC 代表取締役 兼 専務執行役員 最高財務責任者(CFO)の竹川善雄氏は「現時点で可視化されている原燃材料の高騰や販売数量減少などの『マイナス影響』は既に織り込んでいる。その上で、自社で実行可能なコスト削減や製品価格の引き上げ(価格転嫁)によって相殺できる見通しが立っているため、トータルの影響は軽微と見ている」と語った。

 加えて、「この状況が長引いても、現状レベルのまま推移するのであれば通年でも影響は軽微だ。仮に戦況がさらに悪化し混乱が拡大すれば業績悪化のリスクはあるが、逆に現状のまま推移すれば収益が上振れる可能性もゼロではない」と補足した。

 第2四半期以降は情勢予測が困難も、現時点では通期全体業績への影響は軽微と見込む。現在は、主に「原燃材料」「販売数量」「製品価格」への影響を見込んでいる。

 「原燃材料」では、エチレンやプロピレン、各種資材不足による調達難に加えて、エチレン、プロピレン、天然ガス/重油、梱包費、輸送費などの上昇を予測している。

 「販売数量」では、生産調整に伴う塩化ビニールや苛性ソーダ、ウレタンなどの販売数量減少と、自動車の中東向け輸出量減少による自動車用ガラスの販売数量減少を推測。「製品価格」では、建築ガラスの価格調整、化学品の販売価格上昇を推定している。

 これらに対して、「調達ソースの多様化」「コスト削減」「適切な稼働調整」「価格適正化」といった対策を講じ、製品の安定供給を維持する。

中東情勢の影響 中東情勢の影響[クリックで拡大] 出所:AGC

 「調達ソースの多様化」に関して、竹川氏は「例えば、中東に依存しない『タイ国内の天然ガス由来のエチレン確保』が進んでいる。また、別地域として北米からのエチレン確保もめどが立っており、会社全体として中東依存率を下げる取り組みが着実に進捗している」と強調した。

 価格転嫁も進んでいるという。「欧州の建築ガラス事業は2026年4月以降、サーチャージ(割増料金)の導入と価格への反映が既に進んでいる。また、顧客とのインデックス化(指標連動)契約が進んでいる部分もあり、多少のタイムラグがあっても確実に回収できる。長年の協力関係に基づく価格交渉に加え、市場価格の連動による値上げも進んでいる」(竹川氏)。

 なお、2025年度の業績では1バレル当たりの原油価格前提は69.4USドルとしていたが、中東情勢の悪化を踏まえて、2026年度の業績では1バレル当たりの原油価格前提は100USドルとした。

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