日立製作所は、物流センター全体のマテハン機器をフィジカルAIへ進化させる搬送計画最適化AIエンジン「LogiRiSM」を発表した。各種機器の状態をリアルタイムで把握し、仕分け業務の生産性を従来比で約4倍に高める。
日立製作所は2026年3月12日、物流センター全体のマテリアルハンドリング(マテハン)機器をフィジカルAI(人工知能)へ進化させる搬送計画最適化AIエンジン「LogiRiSM(ロジリズム)」の提供を開始した。
LogiRiSMは、自動倉庫や中量棚、パレット、AGV(無人搬送車)といった複数のマテハン機器の状態をリアルタイムで把握し、最適な搬送計画を自動立案する。倉庫制御システム(WCS)と連携することにより、従来のカートピッキング方式と比較して、仕分け作業の生産性が約4倍に向上する。
技術的な特徴として、商品が入ったコンテナを作業者の元へ運ぶ従来のGTP(Goods to Person)方式に加え、注文ごとの集品箱をAGVに積載して自動で届けるOTP(Order to Person)方式を組み合わせた。AGVが複数の保管場所に立ち寄るマルチアクセスピックにより、作業者が歩行しなくてもピッキング可能になるため、ピッキング後の荷合わせ作業を削減できる。なお、同技術は特許取得済みだ。
また、独自のAI最適化エンジンを備えており、オーダーの順序やAGVの搬送ルートをリアルタイムで制御する。自動倉庫からの出庫とAGVの到着タイミングを同期させるほか、渋滞や遅延が発生した際も計画を自動で再計算し、AGVを空いているステーションへ誘導する。
さらに、同一のSKU(在庫管理単位)に対して一度の動作で複数注文分を取り出すトータルピッキングにも対応。自動倉庫からの商品搬送回数が減ることで、倉庫規模の縮小や、低能力モデル性能の採用が可能になるため、初期投資の低減にも寄与する。
LogiRiSMは、搬送の主体がAGVであるため、コンベヤーなど固定設備への依存度を下げ、倉庫レイアウトの自由度を向上する。事業環境や規模の変化に応じた柔軟な変更が可能で、小規模の倉庫から大規模センターまで幅広く適用できる。
物流業界では労働力不足が深刻化し、EC市場の拡大に伴う多品種少量化への対応が急務となっている。人による歩行ピッキングや固定設備を多用する従来方式では、生産性や柔軟性に課題があった。同社は、自律的に判断して行動するフィジカルAIへの進化を加速させ、フロントラインワーカーの現場改革に貢献する。
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