Arasが本格的に展開しようとしているInnovator Edgeの機能を活用することで、Aras Innovatorで使用するAIエージェントを製作できる。Arasは「Edge API」「Edge Builder」「Edge AI」の3つを2026年から順次提供を進めていく。Edge APIとEdge Builderに関しては、ArasのSaaSサブスクリプションに加入しているユーザーは、追加料金なしで使用可能である。一方、Edge AIに関しては追加費用がかかる見込みだ。
Edge APIは他のシステムとPLMが連携する上で必要なAPIを開発可能なツールであり、ここで実際に開発したAPIをアプリケーションとして仕立てることができるのがEdge Builderである。同ツールはユーザーが使用するアプリケーションやインタフェースなどを作ることができ、ポータルや独自のチャットbotを製作可能だ。
Edge AIは、AIのプラットフォームを構築していくために必要なさまざまなモジュールを使用できる。AIエージェントのブリッジとなるMCP(Model Context Protocol)サーバや、知識グラフを用いてデータ同士の関係性を示すRAG(検索拡張生成)であるGraphRAGを活用しながら、既存のERPやSCM(サプライチェーンマネジメント)、他社のPLMシステムからデータを抽出可能だ。また、MCPサーバを通じてさまざまなLLM(大規模言語モデル)と連携しながらPLMとAIが融合した環境を整えることができる。
セキュリティ面に関してもAras Innovatorの「デジタルスレッド」機能を活用することで、セキュアな状態でユーザーにデータを提供できる。久次氏は「2026年はInnovator Edgeを提供し、エンジニアの方に新しいAI/PLM体験をしていただきたいと考えている」と語る。
「ArasはAIに食われてしまうのか」という疑念の声に対して、むしろAIは可能性を広げ、従来のPLMの在り方も変えるソリューションであると同社は捉えている。例えば、従来のPLMはデータを保存するだけのデータベースだったため、製品設計の業務では過去に発生した不具合の再発防止を防ぐDR(デザインレビュー)チェックリストを作成するところまでが機能的な限界だった。ここにAIを活用することで、今まで蓄積してきたデータを用いてDRチェックリストを自動で生成するだけではなく、その後に新しく追加されたデータに関して、生成したチェックリストに引っ掛からないかを確認するという部分までPLMの機能として実装可能だ。
実際にArasではAIを活用した新しい機能として、要求管理の自動化やBOM(部品表)のバリエーション管理、設計変更管理のアシストといった機能を開発している。同社が考えるPLMとAIの関係性は“共存”であり、それぞれに違う役割を持たせて、サービス展開をしていく。
アラスジャパンとしては、日本の製造業が抱えている熟練作業者が引退をしてしまうという課題に対して、熟練作業者が持つナレッジをデジタルツインやデジタルスレッドとしてPLMの中で管理する形を目指していく。また、フィジカルAIの発展に対応するために、データが循環する環境を構築していく。
久次氏は「Aras Innovatorはプロダクトのライフサイクル、要求仕様からBOMを作り、保守メンテナンスの世界まで1つのサーバで提供できる唯一のPLMだと自負している。クローズドループで展開できるPLMであるが故に、フィジカルAIのデータ循環を実現できるようなPLMに進化させていきたい」と述べている。
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