アラスジャパンは2026年度の戦略方針について発表した。同社はAIとPLMシステムを融合させた「Aras Innovator Edge」を2026年度から提供を開始し、エンジニアリング支援を進めていく。
Arasの日本法人であるアラスジャパンは2026年2月20日、東京都内で記者会見を開き、2026年度の戦略方針について発表した。同社はAI(人工知能)とPLM(製品ライフサイクル管理)システムを融合させた「Aras Innovator Edge(以下、Innovator Edge)」を2026年度から提供を開始し、エンジニアリング支援を進めていく。
Arasが展開するクラウド型のPLMシステム「Aras Innovator」は、さまざまな業界で導入が進んでいる。日本国内においても大きくシェアを伸ばしている状態だ。アラスジャパン 社長の久次昌彦氏は「われわれのサービスを活用することで、オンプレミスと同等の機能をSaaS上で実現でき、オンプレミスからSaaSへのアップリフトが非常に簡単である」と語る。
近年ではAIの登場により「SaaS is dead」と呼ばれていた状態から、「AI is eating software」という形で既存のソフトウェア市場をAIがリプレースしていくのではないかという懸念が生まれている。久次氏は「データベースから知りたいデータを簡単に取り出せるといった部分だけを売り物にしてたソフトウェアに関しては、全てAIが肩代わりしていくのではないかと思っている」と分析する。
このような背景を踏まえて、Arasでは2025年に発表し、一部機能をベータ版として限定リリースしていたInnovator Edgeを“エンジニアリングAIプラットフォーム”として本格的に展開していく。2026年度はPLMの仕事をどうような形でAIに任せていくのかという点に着目し、設計者の仕事を軽減するためのPLMの機能としてAIを提供していく。
Arasは、5つの観点でPLMの枠を超えた形でAIを使いやすくすることを目指す。これにより、PLMの在り方をAIで変えていくための基盤として進化させていく方針だ。「今後は今までエンジニアがしていた仕事や一連の作業を、AIエージェントとしてPLMの機能で作っていける」(久次氏)。
同社では「Adaptive Intelligence」というキーワードにのっとり、「AIと人が協調しアイデアの創出と判断の支援」「AIネイティブなエンジニアリング体験」「AIパワーを活用したソリューションの提供」の3つの軸でサービスを進化させていく。
AIと人が協調しアイデアの創出と判断の支援として、AIの機能的な部分をPLMに組み込んでいく。AIネイティブなエンジニアリング体験として、エンジニアリングに必要なAIエージェントを顧客のニーズに合わせて製作し、PLMがエンジニアの仕事を肩代わりしていく状態を目指す。
AIパワーを活用したソリューションの提供については、PLMの導入に必要なカスタマイズをAIが肩代わりし、クオリティーを向上させていく。久次氏は「カスタマイズに関しては、ライセンス費用の1.5〜2倍かかってしまうという統計も出ており、顧客のPLM投資コストを非常に圧迫している要因になっている。また,『カスタマイズがすぐに終わらない』『カスタマイズした部分の品質が悪い』というPLM導入が失敗する主な原因にもつながってしまうので、ここをAIに肩代わりしてもらう。AIが出力するコードは、Arasが検証して推奨しているコードなので、カスタマイズのクオリティーも上げていこうという戦略である」と述べる。
実際にArasは、顧客とのPLM仕様に関するweb会議の様子を録画して、その内容を基にAIが議事録を作成し、この議事録をAras Innovatorの仕様書に使用できる「AIドリブン・ソリューション・デリバリー」機能を開発している。議事録データからAIがさまざまな定義を提案し、その後のAras Innovator用の言語である「AML」に変換して、ソリューション実装まで迅速に進めることができる。自然言語で対話しながらカスタマイズもできるため、システムインテグレーション費用やコンサルティング費用もかからなくなる可能性も秘めている。
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