電子部品などを扱うパナソニック インダストリーも生成AI関連デバイスが好調を持続している。
生成AIサーバ向けの売上高は、新商材も含めて2030年度に1000億円以上という目標を掲げていたが、既存商品である導電性高分子コンデンサと多層基板材料のみで達成見込みだという。今後は、新商材であるCBU(Capacitor Backup Unit)向けスーパーキャパシタや高電圧デバイスなど新商材を加えて、さらなる事業成長を実現する方針だ。
多層基板材料については、タイ工場で新棟を2027年度に稼働させるなど、複数拠点で能力増強を進め、2030年までに生産能力を2倍にする。また、導電性高分子コンデンサについても既存ラインの生産能力増強を推進する。
ピークシェービング向けのスーパーキャパシタは、パナソニック エナジーとの連携でCBUとしての案件獲得を目指す。高電圧デバイスは、車載技術を生かしサーバ向け電源用途の開拓などを狙う。
これらのAI関連需要が業績を押し上げているものの、2025年度通期の業績見通しでは、構造改革費用の負担が大きく、営業損益で300億円、税引き前損益で300億円、当期純損益で200億円の下方修正を行った。
なお、パナソニックHDでは、従来のくらし事業の再編を行い、2026年1月から新セグメントへ移行する。くらし事業は3つのセグメントに分ける。ライティングや電材などを扱うエレクトリックワークス社はそのまま変化なしだが、くらしアプライアンス社とエンターテインメント&コミュニケーションは合わせて「スマートライフ」とする。また、空質空調社とコールドチェーンソリューションズ社は合わせて「HVAC&CC」とする。
また、パナソニックHDでは今後の成長を見据えた新たな役職と人事についても発表した。新たにソリューション領域での収益構造の向上を領域横断でリードするSRO(Solution Revenue Officer)と、顧客課題の解決と内部オペレーションへのAI利活用の加速をリードするグループCAIO(Chief AI Officer)を設置する。
SROは、パナソニックHDが注力するソリューション領域において、B2Bにおけるキーアカウントマネジメントを進めビジネス化を図る役割を担う。新設したこのポジションにはSAPジャパンの代表取締役社長だった鈴木洋史氏を招いている。
CAIOには、パナソニック コネクト 執行役員でCTOを務める榊原彰氏が就任する。「従来パナソニックグループのAI関連のとりまとめは、Panasonic Well本部長の松岡陽子氏が担当していたが、AIをそれぞれの事業に実装していく次のフェーズに移る中で、グループ内に複数存在していたAI開発機能を集約し、榊原氏の下でグループ内での価値を最大発揮できるようにする。Panasonic Well本部は発展的解消をする」とパナソニックHD 執行役員でグループCHROの木下達夫氏は説明する。
松岡氏が推進していたデジタルウェルネスサービス「Umi」や「Yohana」は終息し、松岡氏自身も2026年3月31日付で退任する。「2019年から松岡氏に入ってもらい、AIを活用した新たなB2Cビジネスとして仮説を基に取り組んできてもらったが、スケーリングとマネタイズはできないと判断した。松岡氏が主導したAnthropicとの提携もトーンダウンすることになるだろう。ただ、残ったものは大きい。AIの活用を意図したデータプラットフォームやアーキテクチャ、先端人材などは残る。これらをR&Dとして引き継いであらためてチャレンジする」と木下氏は述べている。
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