川崎重工業 社長直轄プロジェクト本部 執行役員 社長直轄プロジェクト本部長の加賀谷博昭氏は「ロボットと共に歩むスマート社会:Wellbeingの新たなかたち」と題して講演を行った。
まず加賀谷氏は「これからの社会を支える重要技術がロボティクス」と指摘した。川崎重工は工場内の産業用ロボットだけではなく、手術支援ロボットやソーシャルロボットなどの開発にも取り組んでいる。またネットワーク技術とロボティクスを使った人協働の例として「Successor」のような遠隔操作技術も開発している。海外からの遠隔手術の実験にも成功しており、これらがスキル伝承や地方の課題などを解決することにつながると考えているという。
講演では、昨今の川崎重工による代表的な取り組みとして、病院内搬送ロボットの「FORRO」、汎用セミヒューマノイドの「NYOKKEY」、ヒューマノイドの「Kaleido」、4脚モビリティの「CORLEO」が紹介された。
医療福祉分野は2030年には187万人の労働力が不足すると考えられており、川崎重工業では病院運営に不可欠な看護師業務をサポートする技術の開発を進めている。加賀谷氏は、藤田医科大学での実証実験の様子などを紹介した。病院の課題ニーズをエンジニアが1つ1つ拾い上げて各機能を実装していったという。業務代替効果の定量評価にも川崎重工の屋内位置情報システム「mapxus Driven by Kawasaki(旧技術名:iPNT-K)」が使われている。「FORRO」は大規模マンション向けポータルサービスにも活用されており、ビルメンテナンス業界でも活用できると想定されている。
アームを持つ「NYOKKEY」は「FORRO」とも連携しつつ、病院スタッフの心身の課題をサポートするために使われている。具体的には検体搬送や臨床検査機器への自動投入などを担っている。検査業務の現場ワークフローを変えずにスタッフの負荷を下げられ、人が本来業務に注力することで医療提供品質の向上に貢献しているという。
台湾ではフォックスコングループと共同で「NYOKKEY」をベースとする「Nurabot」を開発した。台湾の病院で実証実験を行っているところだ。事前動作検証にはNVIDIAのロボット向けシミュレーション環境「Isaac Sim」により、デジタルツインでのシミュレーションを実施。介護現場での認知症患者向けの傾聴などの実証実験も進めている。「スタッフの心身の余裕を生み出す相棒」としての役割を目標としているという。
「Kaleido」は川崎重工が2015年から開発しているヒューマノイド。危険環境も想定した耐久性が特徴だ。「2025国際ロボット展」で公開された最新版の9世代目は、AIとの統合を目指したモデルで、遠隔操作にも対応する。「大阪・関西万博」で披露された4脚モビリティの「CORLEO」は、2030年開催の「サウジアラビア・リヤド万博」における会場内モビリティとしての採用と、2035年の製品化を目指して開発が進んでいる。
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