NVIDIAの日本法人エヌビディアでロボティクス事業部 事業部長を務める平野一将氏は「Robotics x Physical AI 〜現場実装の今とこれから〜」と題した講演を行った。平野氏はまず、「フィジカルAI」の概要について解説した。その背景には、3つの根本的な産業シフト、すなわち労働力不足、海外の工場を国内に持ってくるオンショアリング、ロボティクスのイノベーションがある。NVIDIAは、フィジカルAIには学習、シミュレーションとデータ生成、エッジから成るの「3つのコンピュータ」が重要だとし、計算するためのGPUと、GPUを動かすソフトウェアを提供している。
オンショアリングにおいては工場のデジタルツイン化が重要な役割を果たす。NVIDIAのOmniverseはそのためのツールでもある。平野氏はフォックスコンの工場立ち上げの事例を使って説明した。OmniverseはオープンデータフォーマットであるOpenUSDを使ってデジタル上で実工場を再現するだけではなく、各機器の連携やタクトタイム最適化などを検討することも可能だ。
しかしながら日本の工場が一足飛びにここまでいけるかどうかは別だ。平野氏は「1つ1つ、ステップバイステップで進めていくことが重要だ」と語った。
NVIDIAのテクノロジーは物流でも活用されている。平野氏は産業用ロボットフリートのデジタルツインを構築するためのツール「MEGA」によるシミュレーションを使って紹介した。まだ完全に自動化できない部分も含まれる物流分野においては、人の動きも再現しなければならない。各機器を制御する機能もあるが、それぞれの機器のコントローラーを接続することもできる。工程を1つ1つ分解していき、実際にどのくらいのスループットが出せるのかを計算することもできると紹介した。
AIの進化は目まぐるしいが、データがなければAIは進化しない。AIを進化させるためには、データをそろえ、情報処理をつなげる必要がある。だが、そのためのAI実装は容易ではない。まずは紙データのデジタル化からはじめる必要があるのが現実だ。平野氏は「AIを実際に応用しながらビデオ解析などを行い、データを蓄積していくことが重要だ」と語った。
最終的にフィジカルAIの実装まで進めれば、マルチフリートの無人工場/倉庫が実現できるようになる。平野氏はそのために「まずは技術を触ってみる、そして不可欠な情報が何なのか定義していくことが重要」と強調。その上で、「そこから新たなビジネスを生み出していくことも可能だ。現場実装を早めていきたい。ぜひ2026年3月に米国カリフォルニア州サンノゼで開催される年次イベント『NVIDIA GTC』にも参加してほしい」と呼びかけた。なお、NVIDIA GTCは現地だけでなくバーチャルでも開催される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク