また、多数のセンサーによる車両単体での周囲検知機能に加え、交通インフラ設備と連携する「協調型自動走行システム」を導入した。具体的には、走行ルート上に設置した路側機が、信号機の信号残秒数(次の色に変わるまでの残り時間)などの情報を無線通信で取得し、これを車載カメラの認識と統合する。これにより信号変化を正確に予測し、急ブレーキを防ぐなど、滑らかな減速や通過判断を実現している。
なお、走行ルート上の交差点には、自動運転バスの死角に位置する歩行者や対向車を検知するための路側センサーなどの整備も進めているが、現段階では検知精度の検証フェーズにあるため、今回のレベル4運行の制御には使用していない。
周辺の車両走行状況や歩行者位置などの動的データは、名古屋大学が開発したデータ連携プラットフォーム上に集約される。これにより、車内および遠隔拠点の双方から、リアルタイムかつ一元的に運行状況を監視する体制を確立している。
東京大学 生産技術研究所 教授の中野公彦氏は、開発における最大の課題として「安全性と円滑性の両立」を挙げた。安全性を追求すればするほど車両挙動が慎重になり、低速走行や頻繁な停止を招いてしまう。一般車が混在する公道を走る路線バスとして、周囲の交通流を阻害せず、かつ確実に安全を担保するというバランスの最適化が技術的なハードルであったと語った。
同事業は、経済産業省と国土交通省が主導する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」の一環で、多様な交通が混在する環境下での自動運転実現を目指す「テーマ4」として採択された。東京大学が代表機関となり、名古屋大学、産業技術総合研究所、三菱総合研究所、日本自動車研究所、先進モビリティの6者によるコンソーシアムが形成され、産官学連携の下で技術開発と社会実装を推進してきた。
実装の基盤として、2019年11月から同区間の平日日中にレベル2走行での営業運行を継続し、実走行データを蓄積してきた。レベル4対応の車両の完成後、約2年間の走行試験を経て安全性が立証され、2025年8月に関東運輸局より自動運行装置に対する走行環境条件が付与された。続いて同年11月に千葉県公安委員会から特定自動運行許可を取得、同年12月に自動運行旅客運送(自動運転による運行)認可を受け、今回の一般公道でのレベル4営業運行開始に至った。
コンソーシアムは今後、安全性の確認を進めながら、段階的にレベル4での運行区間を拡大させる方針だ。約2年後をめどに、2.6kmの全ルートでのレベル4化を目指している。中野氏は「レベル4とは、異常時にシステムが車両を安全に路肩へ停止するなどの措置を行えること」と語り、単なる移動手段の提供にとどまらず、運行支援システムや他サービスとの連携も含めた持続可能な事業モデルやデータ連携スキームの構築を引き続き検討していくとしている。
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