AIとワイヤレスで進化するエッジのエンジニアリング、2026年に注目すべきトレンドAI基礎解説(3/3 ページ)

» 2026年01月15日 06時00分 公開
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トレンド5:チャネルモデリング生成AIによる進化

 ワイヤレスエンジニアは現在、自身が関わるワークフローや設計業務におけるLLMの活用を模索しています。LLMを用いてコンテキスト認識型の意思決定を実現し、複雑なワイヤレス環境管理を簡素化する方法を検討しているのです。

チャネルモデリングにおける生成AI 通信リンクにおけるモビリティをモデル化するためのレイトレーシングチャネルの活用[クリックで拡大]

 LLM統合によって恩恵を受ける重要なプロセスの一つがチャネルモデリングです。当初は補助的な機能と見なされていたチャネルモデリングですが、今やマルチユーザーMIMOやビームフォーミングシステムにとって不可欠なプロセスとなっています。生成AIの活用により、エンジニアはこれまで実現が困難だった複雑なシナリオを探求し、より実用的で代表性の高いチャネルモデルを生成できるようになります。

 LLMが物理層のビームステアリングなどを直接制御するにはまだ至りませんが、無線通信の挙動を導く上位層の意思決定には活用できます。初期導入では電力や計算リソースの制約が課題となりますが、軽量の生成AIモデルやAIネイティブアーキテクチャの研究が進むことで、エッジ対応かつスケーラブルな実装が可能になっていくでしょう。ワイヤレスシステムの設計者にとって、この進化は物理層性能とAI駆動のオーケストレーション/意思決定の連携強化という新たなニーズを意味します。



 新たな技術的/セキュリティ的課題への対応には、分野横断的な協力と慎重なシステム設計が不可欠です。これらの変化に適応することで、エンジニアリングチームは複雑性をより良く管理し、将来に向けてより高機能でレジリエントなシステムを構築できるようになるでしょう。

筆者プロフィール

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井上 道雄(いのうえ みちお) MathWorks Japan アプリケーションエンジニアリング部 マネージャー

数値流体力学(LES)を専門に学位取得。NASA/JPLで乱流モデルを地球大気のシミュレーションに応用する研究に従事。2014年にMathWorks Japanに入社後は数値計算、データ解析を担当し機械学習を応用した異常検知、予知保全をメインに活動。MathWorks公式ブロガー。


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川浪 洋資(かわなみ ようすけ) MathWorks Japan インダストリーマーケティング部 通信/電機/半導体インダストリーマーケティングマネージャー

国内電子デバイスメーカーで商品設計に従事。その後市場マーケティングや自動車市場の新規事業企画をリードし、技術やビジネスの橋渡し役を担う。2019年よりMathWorksに入社しインダストリーマーケティングとして、通信/電機/半導体業界活動を通してモデルベース開発の推進活動に尽力。


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