AIとワイヤレスで進化するエッジのエンジニアリング、2026年に注目すべきトレンドAI基礎解説(1/3 ページ)

AIとワイヤレス通信の進歩が、エンジニアリングの実践を幾つかの重要な分野で再構築する。2026年に注目すべき5つのトレンドを紹介する。

» 2026年01月15日 06時00分 公開

 2026年から2030年にかけて、AI(人工知能)とワイヤレス通信の進歩が、エンジニアリングの実践を幾つかの重要な分野で再構築します。AIエージェントと標準化プロトコルがエンジニアリングのワークフローを効率化し、ハイブリッドなNTN(非地上系ネットワーク)とTN(地上系ネットワーク)がワイヤレスカバレッジを拡大。さらに新しいAI手法が組み込みシステムやシミュレーションプロセスの両方を強化します。これらのトレンドが組み合わさることで、エンジニアは複雑なシステムの設計/接続/管理の方法を大きく変えることになるでしょう。

トレンド1:AIエージェントとMCPがエンジニアリングワークフローを再定義

 エンジニアリング分野におけるAIの次世代進化は「AIエージェント」です。従来のLLM(大規模言語モデル)は内部知識に基づいた応答しかできませんが、AIエージェントを用いたシステムは追加情報を取得したりタスクを自動化したりするためのツールを実行できます。これらのシステムはユーザーのリクエストに応じて適切なツールを選択し、データをツール用にフォーマットし、結果の後処理も行えます。ファイルの作成や編集、コードの実行、エラーの解決まで可能となり、活用の幅が大きく広がります。

AIエージェント AIエージェントは、ユーザーのリクエストに基づき適切なツールを用いて、ファイルシステムやデータベースにアクセスしタスクを自動化できる[クリックで拡大]

 現在、開発者たちはAIエージェントの現実世界への安全な統合に向けて能力を強化しています。現時点で、AIエージェントは限られた数のツールで最も効果を発揮していますが、今後はより多くのツールを選択/活用できるようにする取り組みが進められています。ファイルシステムやデータベース、コード実行へのアクセスを任せる機会が増える中、これらのタスクを安全に遂行するためのセキュリティ確保が不可欠です。LLMが誤りを犯す可能性がある一方で、セキュリティリスクを軽減し、AIエージェントの強力な能力をより信頼性高く、広く利用できるようにする研究が進んでいます。これらの進歩が普及と影響力の拡大を後押しするでしょう。

 AIエージェントが効果的に動作するためには、情報を理解し交換する信頼できる手段が必要です。MCP(モデルコンテキストプロトコル)は、AIエージェントシステム内のツール、データ、プロンプトの共有方法を標準化することでこの課題を解決します。通信とコンテキストを標準化することで、MCPは誤解を減らし、ツールやチーム間の円滑なコラボレーションを実現します。エンジニアはさまざまなMCP対応ツールから最適なものを選択し、問題ごとに最適なツールセットを構築できます。

 AIエージェントとMCPを組み合わせることで、基盤となるソフトウェアや組織の垣根を越えてエンジニアリングモデルを解釈/操作できるようになります。これにより、設計案の提案やシミュレーションの調整、エンジニアリングワークフローのリアルタイムな適応が可能となり、プロジェクト目標や業界標準との整合性を保てます。こうした技術が成熟することで、エンジニアはツールやデータの管理に費やす時間を減らし、より創造的な問題解決に集中できるようになるでしょう。

トレンド2:2026年にハイブリッドNTN-TNネットワークが本格化

 人工衛星や無人航空機などを使って通信を行うNTNは新たな展開フェーズに入り、現実世界での導入が地上に設置した基地局によって担われているTNインフラを補完し始めています。標準化団体である3GPPが策定したリリース17の仕様は、NTN−TN相互運用性の基準を提供しており、信頼性や遅延のパラメーターを規定されました。新たなリリース18の仕様では、NTN−IoT(モノのインターネット)や高周波数帯への対応が拡大され、スケーラブルかつ高スループットなアーキテクチャに不可欠なものになっています。この変化は、ワイヤレスエンジニアにとってセル直結接続やネットワーク協調に関する新たな設計/統合の課題をもたらします。

ハイブリッドNTN−TNネットワーク Iridium衛星の軌道と地上局の接続をリアルタイムシミュレーションで可視化した、衛星中継経路と航空機追跡の様子[クリックで拡大]

 NTNがTNを置き換えるのではなく、両者が補完しあうことで、次世代のグローバルワイヤレス接続を定義するハイブリッドエコシステムが形成されます。ワイヤレスエンジニアにとっての主要課題は、衛星リンクと地上リンク間での信頼性の高い切り替えを実現することです。NTNとTNの相互運用性が最重要であり、ハンドオーバー管理やリソース協調がシステム設計全体の成否を左右します。RF(無線技術)分野では、NTN−TNネットワークの登場により、柔軟なマルチバンドトランシーバーや多様な伝搬環境に対応した堅牢なチャネルモデリングのニーズが高まっています。

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