この方針を具現化するため、JEITAは2026年度中をめどに「デジタルエコシステム検討会」を発足し、企業や組織の枠を超えてデータを共有/活用する産業データペースの構築を進める。
同検討会は、2025年6月に始動した官民協議会の枠組みをベースに、具体的なユースケースの創出や課題の整理、アクションプランの策定を担う実働部隊とする。現段階での参画メンバーは日立製作所(主査)、三菱電機、NEC、富士通、CMPコンソーシアム(副主査)、Green x Digitalコンソーシアムなどである。漆間氏は「日本が競争力を取り戻すには、ソフトウェアとデータに本気で投資できるかに尽きる」と語り、産官学が連携してデータ活用基盤の整備を加速させ、単なる構想で終わらせず、確実な社会実装へと引き上げる意気込みを示した。
JEITAは同日、2025年の注目分野に関する動向調査として「データセンターサービスの市場見通し」も発表した。
2030年のデータセンターサービス世界市場は1兆7200億ドル、同関連製品(サーバ、ネットワーク機器など)市場は1兆6907億ドルと予測する。特に関連製品市場は2025年比で約2.5倍という驚異的な伸びを示しており、GPUサーバの高騰などが数字を押し上げているとJEITAは分析している。
これにより、データセンターの電力需要は2030年に現在の2倍以上となる見通しで、電力供給がサプライチェーンのボトルネックとなる可能性もある。日本国内においては、パワー半導体や、低消費電力通信を実現する光電融合などの技術を戦略物資として磨き上げ、世界市場に打って出る強い意欲を示した。
また、中国企業については、「EV(電気自動車)やヒューマノイドロボットなどの例を見ても、実装していくスピードは脅威である」と率直に評価。その一方で、「日本企業がそのまま後追い(コピー)するのではなく、わが国が得意とするセンサーやアクチュエータ、安全性などをAIと組み合わせることで差別化をしてくべき」と語り、技術のすり合わせによる独自路線の重要性を訴えた。
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