1つ目が、明文化されていないノウハウを自動抽出し、組織として資産化する業務自動化エージェント技術である「cotomi ACT」だ。これは、日常的にブラウザを経由して行う業務内容に対し、その動きをAIに学習させ、業務プロセスと暗黙知の形式知化を行う。これにより、その企業や業務に特化した作業を、業務整理や学習の負荷を抑えた形で、AIエージェントによって自動化する。AIエージェントのタスク成功率も非常に高く、簡単に業務の代替が行える。
「あるテストによると、cotomi ACTのタスク成功率は80.4%に達しており、人間の成功率の78.2%を上回った結果もある。現場の作業をAIに見せるだけで暗黙知やローカルルールも含めて学習でき、運用面も含めてAIエージェントによって現実的に作業を代替させられる」(担当者)
このソリューションは2026年1月の提供開始を予定しているが、デモでは、出張を伴う訪問のメールを受け取った際に、自動でAIが判断して、出張のプランニングや、出張申請などの必要手続きを示し、さらにメールの要項を自動で出張申請のフォームに記入することを実現していた。「業務をAIに見せるだけで負荷なく使用できるために利用範囲は広い」(担当者)。
2つ目が、2025年11月に発表したNEC独自のインテリジェンスとAI技術を融合させた次世代サイバーセキュリティサービス「CyIOC(サイオック)」だ。
サイバーセキュリティ対策としては、通常SOC(Security Operation Center)などで対応することが多いが、従来技術ではインシデントが起こった後に事後で対応する形がほとんどだった。サイオックは、AIエージェントを活用し、業種や企業ごとの脅威を分析し、顧客に特化したリスク評価と対策を行い、業務やシステムごとの影響度に合わせた対策を事前に行うことができるものだ。業務システムの全体像や、既知の脅威情報などを学習し、総合的に見て最も対策が必要な領域の割り出しなどが行える。
3つ目が、高速高精度の本人認証技術だ。NECでは以前から顔認証などで強みを発揮しているが、新たに虹彩認証を加え、マルチモーダル生体認証を実現することで、より高い精度と高速性を実現した。これにより、離れた位置でも立ち止まる必要なく本人認証が行えるようになるという。
「屋外や逆光、暗所などでも1台の小型カメラでウォークスルー型の本人認証が可能となり、システム負荷が小さいということも強みだ」(担当者)としている。
4つ目が、緊急指令室などでオペレーターの判断を支援するAIエージェントだ。状況判断から行動決定までの一連業務をAIで支援する。緊急時では、指令室への連絡も複雑で錯綜したものとなるが、それを整理し、複雑な会話をリアルタイムに文脈から理解し、的確に関連情報などを支援する。加えて、判断根拠を明示し、信頼性を確保している。
また、同様の技術を使い、コンタクトセンターの応対の評価や支援などでの活用も想定しているという。
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