オークマは、長時間高精度と高加工性能を保ちながら機械幅を抑えた小型複合加工機「MULTUS U1000」「MULTUS U2000」を開発した。80本工具マガジンと自動化設計により、多品種生産の工程集約と生産性向上に対応する。
オークマは2025年11月5日、精度の長時間安定維持と高い加工性能を両立しつつ、クラス最小レベルの機械幅を備えた小型複合加工機「MULTUS U1000」「MULTUS U2000」を開発したと発表した。
U1000は6インチチャック、U2000は8インチチャック対応の旋削主軸を搭載し、80本の工具を収納できる大容量マガジンを標準装備する。難削材化が進む医療関係部品、小型、高機能化が進む精密機器などの中小物部品加工に向けて、高精度と高生産性の両立を狙う。
両機は、複合加工機の商談で約40%を占める直径150×高さ200mm以下の部品加工を想定し、所要床面積を抑えつつ加工領域を確保した。設置面積は8.2m2で、従来機「MULTUS U3000」比で41%縮小している。X軸550mm、Y軸220mm、Z軸880mmの移動量を持ち、最大加工径650mm、最大加工長830mmに対応。精度不良を抑える「サーモフレンドリーコンセプト」を標準搭載し、環境温度変化のある長時間運転でも高い加工精度を保つ。
80本工具マガジンは従来比2倍の容量となり、機械幅は3510mm(25%縮小)に収めた。多品種生産時に必要な工具交換の頻度を抑え、長時間連続運転に向く。工程集約と自動化も意識した構造で、機械前面をフラットにしてロボットが加工物に近づきやすくしたほか、ローダを機上へ取り付ける構成にも対応。ロボットセルや量産部品加工セルをコンパクト化し、限られた工場スペースでの生産性向上を図る。
また、長時間運転での高精度加工を支えるため、刃物台旋回軸と旋削主軸の割出精度を向上させた。「ファイブチューニング」により5軸加工の幾何誤差を自動測定し、補正時間は手動の45分から10分へ短縮。さらに、AI(人工知能)が機械状態を診断する「AI機械診断機能」を搭載し、主軸軸受やボールねじの故障兆候を検知して予知保全に対応。不意のマシンダウンを抑え、生産ロスの軽減に寄与する。
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