オークマは、半導体製造装置や建設機械、金型などの大物部品を安定して高精度に加工できる大型立形マシニングセンタ「MB-100V」を発表した。大物部品の段取りや搬入出、切粉の処理などを安全かつ容易に実施できる。
オークマは2025年9月10日、半導体製造装置や建設機械、金型などの大物部品を安定して高精度に加工できる大型立形マシニングセンタ「MB-100V」を発表した。
MB-100Vは、高精度立形マシニングセンタ「MB-V」シリーズの最上位機種に位置付けられる。経験が浅い作業者でも高精度で高効率な加工が可能で、大物部品の段取りや搬入出、切粉の処理といった負担を要する作業を、安全かつ容易に実施できる。
MB-100Vは、大物部品加工現場の課題を解決する、さまざまな技術を搭載する。切粉処理性能に優れ、切粉を堆積させない機内カバー構造とクロスレールシャワー洗浄により、大量の切粉を一掃する。
また、クーラントタンク内の微小な切粉を99%の高効率で自動回収する(鋳物やアルミの加工時)。これにより、従来は人手で実施していたタンク清掃やクーラント交換が3年間不要になり(社内設備の実績)、清掃によるダウンタイムを削減できる。
AI(人工知能)機械診断機能を搭載し、主軸や送り軸の故障の兆候を事前に検知し、突然の機械停止を防止する。高精度を長期間維持できるのは、知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」によるものだ。同技術により、工場の室温が8℃変化しても、加工精度に影響する熱変位を7μm以下に抑えるため、熱変位由来の精度不良が激減する。
機械を設置した床の変化による機械のゆがみを半自動で補正する、3Dキャリブレーション機能も備える。さらに、機内計測自動校正機能を使えば、これまで20分かかっていた計測器の校正作業が、2分で完了する。
開口部の広い電動式ドアを標準装備しており、長さ3000mm相当の長尺部品も安全に搬入出できる。機械の背面にも作業ドアを設置し、奥の方での段取り作業もストレスなく実施できる。次世代CNC「OSP-P500」を搭載したことで、専門的なプログラム言語の知識がなくても、ガイダンスに従うだけで簡単に加工を開始できる。
設置面積は従来機比で32%縮小しており、3000×1000mmのテーブルサイズに対して十分な加工領域を有する。X/Y/Z軸移動量はそれぞれ3200mm、1250mm、750mmと従来機比16%拡張している。切削能力にも優れ、標準採用のNo.50主軸により重切削能力が向上。例えばS45C材の場合、エンドミルで1分間に最大704cm3の切削が可能だ。
さらに、これまで複数の機械や手作業で実施していた工程を1台に集約することで、部品の移動や段取替えの手間をなくし、生産リードタイムを短縮する。
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