その他3つの新機能は、「地味ながらも重要な改良」だという。
「Floor Flatness」は、「シム材」と呼ばれるパネルを敷設することで床の凹凸を吸収し、従来の設置時に必要だった研磨作業を不要にするソリューションだ。「Fire Standard(防火基準)」の改定は、主に欧米向けの改定。スプリンクラー設置に関する規格(FM Global)を見直すことで、吊り天井の高さ緩和や放水圧の低減を実現した。これによりAutoStore本体以外の設置コストを最大35%削減できる見込みだという。
最後の「CubeDeploy」は、ソフトウェアのインストールやアップデートを1つのパッケージに統合するものだ。従来は複数のロボットコントロールシステムを個別にインストールやアップデートする必要があったが、これが不要となる。
説明会で安高氏は、現在の物流マテリアルハンドリング(マテハン)市場について、グローバル全体では「必ずしも順調ではない」と分析した。コロナ禍のような爆発的な需要の伸びは落ち着き、現在は不安定な状況にあるという見立てだ。
また、10年前の市場には存在しなかった、ハイロボティクスやギークプラスといった中国系の自動走行ケースハンドリックロボットメーカー(ACR)らが急速に台頭し、市場競争が激化している点を指摘した。顧客にとっては選択肢が増えた一方で、「どのソリューションが自社に最適か分かりにくい状況も生まれている」(安高氏)。
レッドオーシャンとなりつつある市場の中で、安高氏はAutoStoreの最大の強みを「格納効率の高さ」であると語る。特に、既存倉庫の限られたスペースに導入する場合など、高密度さが求められる現場で強みを発揮するとしている。
このような市場変化や競合の追随に対し、AutoStoreは「顧客の課題解決」と「自社の強みのさらなる強化」を成長戦略の柱に据える。安高氏は、「今回のAutoCaseやFlexBinsは、まさに市場からの強い要望に応えたもの。新製品を起爆剤に、さらなるブランド力向上に努めたい」と述べた。
今後も、春と秋の半年に1回のサイクルで新製品やアップデートを継続的に発表していく方針である。また、説明会では2026年1月にも(今回の発表とは別の)新製品をリリースする可能性があることが明らかにされた。
AutoStoreは今後、大規模展示会への直接出展を全世界で取りやめることも明らかにした。2026年に開催される米国の「ProMat」、ドイツの「LogiMat」への出展を最後とし、それ以降は出展しない方針だ。
理由は、AutoStoreはパートナー企業を通じての製品販売が基本であり、パートナー企業も同じ展示会に出展しているため、互いに顧客件名の取り合いが発生するのは無駄であると判断したからだ。また、日本市場においてはAutoStoreの認知度はかなり上がっていることから、「知ってもらうため」の展示会出展の役割は終えたと判断したという。
今後は、AutoStoreが単独で出展するのではなく、パートナー企業が行う展示会やイベントをサポートする形に切り替えていく。
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