AutoStoreが2025年秋の新製品を発表。顧客要望の高かったケースごとの保管や、複数サイズのビンに対応できるようにした。格納効率をさらに高め、競合が激化する市場で差別化を図る。また、大規模展示会への直接参加を見送ることも表明した。
ノルウェーに本拠を置くAutoStore System(以下、AutoStore)は2025年11月7日、同社が発表した2025年秋の新製品群のポートフォリオを公開した。新製品はグローバルでは既に公開されており、ケースごと入出庫できる「AutoCase」や、複数の異なるサイズのビン(コンテナ)を保管できる「FlexBins」など、新たに7つの製品/機能が追加されている。
同日、東京都内で行った説明会では、AutoStore バイスプレジデントジャパンの安高真之氏が登壇。新製品群の詳細に加え、現在のマテハン市場の動向や、競合他社との差別化戦略についても解説した。
1つ目の「AutoCase」は、安高氏が「今回の目玉」と宣言する製品だ。従来のAutoStoreは、専用ビンを用いた各商品の最小単位で管理するバラ単位管理が基本であり、ケース入りの製品はわざわざ開梱(かいこん)してバラ単位にする「デキャンディング(移し替え)」作業が必要であった。
今回開発したAutoCaseは、入荷時の正箱ケースのままシステムが自動で引き取り、ケース単位での保管と自動入出庫を可能にする。これにより、バラ単位管理のために人手で行っていたデキャンディング作業が不要になるなど、より多様な在庫の保管が実現する。
この機能のため、トレーとケースを押し上げるプレートを内蔵したケース専用ビンを開発した。対応可能なケースは最大サイズ580×380×400mm、最大重量28kgである。安高氏によると、「一般的な正箱ケースの約7割はビンに収まる」という。また、横幅が同じであるなどの一定の条件を満たせば、1つのビンに最大2つのケースを同時格納できる。
応用として、出荷用の空箱を一時的にAutoCaseでシステム内に保管し、そこにケース単位の商品やバラ単位の商品を投入する「荷合わせ(順立て)」作業を自動化することも可能になる。日本国内では2026年後半のリリース予定だ。
2つ目の「FlexBins(フレックスビン)」は、1つの保管エリア内で高さの異なるビンを混在して保管できる機能である。安高氏によれば、「顧客からの要望が1番多かった」機能だという。
これまで1つのAutoStoreのシステム内では1種類の高さのビンしか扱えなかったが、FlexBinsの導入により、220、330、425mmの3サイズを同一システム内で取り扱えるようになる。AutoStoreは、この機能により格納効率が最大15%向上すると見込んでいる。
FlexBinsは機体本体(ハードウェア)の変更を必要とせず、ソフトウェアのアップデートのみで使用が可能になる。そのため、既存顧客も機体を入れ替えることなく利用できる。
ただし、引き続き異なる高さのビンを縦に積み重ねることはできない。運用上は「Aエリアは220mm、Bエリアは330mm」といったように、エリア(ゾーン)ごとに異なる高さのビンを分けて管理することになる。FlexBinsは、2026年1月に全世界同時リリース予定だ。
3つ目の「Frozen-Only Grid」は、冷凍専用に特化した多温度帯ソリューション(Multi-Temperature Solution、MTS)だ。これまでAutoStoreのMTSはチルドと冷凍がセットであり、別々に購入できなかった。冷凍施設の需要の高まりを受け、チルド分のビンを除外し、新しく冷凍専用MTSを開発。今後、日本市場の倉庫規格に合わせてアップデートしていく方針である。
4つ目として、2025年春に発表したばかりの自動ロボットピッキングワークステーション「Carousel AI(カルーセルAI)」の機能強化も明らかにした。主な強化点として、ピックした商品を置く場所を1カ所から、最大6〜8カ所に増やした。また、搭載されたAI(人工知能)をアップデートしたことで、ピッキングの最小重量が20gから5gに改良され、口紅などの軽量物もつかめるようになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム