竹中土木とロボットスタートアップの人機一体は、「ハイウェイテクノフェア2025」において、橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットの実証機を公開した。
竹中土木とロボットスタートアップの人機一体は、「ハイウェイテクノフェア2025」(2025年10月16〜17日、東京ビッグサイト)において、両社で共同開発している橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットの実証機を公開した。人機一体の独自技術である「パワー増幅バイラテラル制御」などを活用し、荷重約1トンに達する鋼製ブラケットをサブmm(1mm以下)レベルの精度で橋梁に取り付けられる性能を実現している。実証機の完成により、今後は高速道路会社との調整を経て数カ月以内に実際の橋梁における実証を行う予定である。
橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットは、6本のアクチュエーターで1つの平面を支えて、その平面の位置と傾きを制御するスチュワートプラットフォーム機構を用いたロボットである。一般的な大型のスチュワートプラットフォーム機構がアクチュエーターに油圧シリンダーを用いているのに対して、同ロボットに用いている建設用スチュワートプラットフォームは人機一体と椿本チエインが共同開発した力制御電動シリンダーを採用している。
力制御電動シリンダーは、油圧シリンダーに匹敵する高出力と高耐衝撃性を備える一方で、センサーによって各電動シリンダーに掛かる力を検知できる。このセンサー情報を基に電動シリンダーの位置制御を行うことで、建設用スチュワートプラットフォームのサブmmレベルの動作精度を実現しているのだ。
橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットにおける鋼製ブラケットの把持には電磁石を用いている。作業対象が受ける力や感覚を操作側にフィードバックするパワー増幅バイラテラル制御に基づく直感的なレバー操作により、把持した鋼製ブラケットと橋梁のボルト穴の位置を合わせて微調整した後は、ボルト穴にアンカーボルトを通して締結する必要がある。今回の実証機は、建設用スチュワートプラットフォームの上にロボットアームを1台搭載しており、これを用いてアンカーボルトのナット仮締結まで行えるようになっている。

橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットにより鋼製ブラケットのボルト穴の位置を合わせて橋梁側に挿入した状態(左)。鋼製ブラケットの設置面が橋梁の壁側にぴったりと合わさっている。遠隔操作機は、直感的なレバー操作によって、建設用スチュワートプラットフォームの位置制御やナット仮締結用ロボットアームの操作を行える(右)[クリックで拡大]人機一体 代表取締役社長の金岡博士氏は「橋梁の耐震補強工事における鋼製ブラケットの取り付けはさまざまな制約条件から人力作業が多く危険で時間がかかることが課題だった。橋梁耐震補強用鋼製ブラケット取付ロボットを使えば、アンカーボルトのナット仮締結まで人力作業がほぼ不要になるとともに作業時間を従来の120分から30分に短縮できる。最後のボルトの本締結作業は、確認なども含めて人手で行う必要があるものの、仮締結までいけば危険性は大幅に低減された状態になっている」と語る。
今後は竹中土木や高速道路会社とともに実証を重ねる段階に入る。「実証機にとどまらずしっかり実用化につなげていきたい。製品化の段階では、先行して導入が進んでいる鉄道向け高所作業用ロボットの『零式人機』と同様にメーカーと連携していきたい」(金岡氏)という。
人機一体が歩行可能な人型ロボット開発へ、マクロス河森氏とLOVOT根津氏も参加
樹脂と金属のハイブリッド構造で課題を克服、人機一体による3Dプリンタ実践活用
全方向移動ユニットの高荷重化に向け共同開発プロジェクトを加速
「マクロス」河森監督が工業デザインに初挑戦、人機一体との共同プロジェクトで
“脱力”でロボットは剛柔自在? 人機一体が共同開発技術を一堂に
「零式人機ver.2.0」が起動、高所重作業という“苦役”の解消へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム