人機一体は、「2022国際ロボット展(iREX2022)」において、高所作業車のクレーンの先端に取り付けたロボットを遠隔操縦して高所重作業を行う「零式人機ver.2.0」を公開した。JR西日本、日本信号との共同で進めている開発プロジェクトで、2021年3月公開の試作機である「零式人機ver.1.0」から約1年で、実証機となるver.2.0の開発にこぎつけた。
人機一体は、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)において、高所作業車のクレーンの先端に取り付けたロボットを遠隔操縦して高所重作業を行う「零式人機(れいしきじんき)ver.2.0」を公開した。JR西日本、日本信号との共同で進めている開発プロジェクトで、2021年3月公開のPoC(概念実証)試作機である「零式人機ver.1.0」から約1年で、実証機となるver.2.0の開発にこぎつけたことになる。
零式人機ver.2.0は、高所重作業という“苦役”を解消するために開発された汎用人型重機だ。人機一体の独自技術である力制御技術「PBAC」により、トルクセンサーを組み込んだ各関節の力をち密に制御して、重く高出力のユニットでありながら人が軽く押して自由に動かすことができる。これにより、従来の位置制御ロボットでは難しい両手協調作業が容易に行える。
展示では、高所作業車のクレーンの先端に取り付けた零式人機ver.2.0を、クレーンの操縦席に組み込んだ「人機操作機ver.5.0」によって操作し、高所に吊り下げてあるパイプを片手でつかんでから両手で持ち、もう一方の片手に持ち替えてから吊り下げ直すというデモンストレーションを披露した。また、デモンストレーションの最後には、実際にクレーンを伸ばすことで、高所作業車を使った作業が行われている高さを来場者にイメージさせた。
なお、人機一体とJR西日本、日本信号による開発プロジェクトは、人機一体が先端ロボット技術の知的財産権をベースとする「人機プラットフォーム」を提供し、日本信号はメーカーとして独占的に、零式人機を中核とした高所重作業対応汎用人型重機の開発、製造、販売を行い、JR西日本は鉄道インフラメンテンナンスにおける課題解決を実現する製品を独占して購入する権利を得る、という枠組みになっている。今後は、零式人機ver.2.0を用いた実証を通して実用化に向けた開発を進めていく構えだ。
人機一体は、立命館大学ロボティクス学科の教員を務めていた金岡克弥氏が2007年に創業したマンマシンシナジーエフェクタズ(MMSE)が母体となっており、2015年10月にMMSEから現在の人機一体に社名変更している。
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